野ボール横丁BACK NUMBER
公立進学校が大阪桐蔭に善戦。
済々黌がいつか“佐賀北”になる日。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/08/18 18:10
試合後、悔し涙を見せる済々黌の選手たち。熊本からやってきた大応援団は、大阪桐蔭の選手に「(済々黌の)アルプススタンドの黄色の大声援はかなりプレッシャーに感じました」と言わせるほどだった。
序盤戦は、済々黌のシナリオ通りの展開に。
1回裏、済々黌は、3安打を集中されたが、最少失点で切り抜ける。そして2回表、2死二、三塁から、ワイルドピッチで同点に追いついた。
「三塁に行けば何かあると思って、ワンアウトからでも送っておいたんです」
単純に相手に助けられたわけではない。相手のミスを誘発するような攻め、まさに「プラスα」による得点だった。
先発投手の大竹耕太郎は、90キロ台のカーブと130キロ中盤の真っ直ぐを内外角に投げ分け、走者を許しながらも粘りの投球を続ける。
序盤を終えて1-1。池田が振り返る。
「3回までは長打が一本もなかった。押されながらも、同点ですからね。願ったりかなったりの展開だった。いずれにせよ、ロースコア勝負に持っていかないとダメだと思っていたので」
「同じ野球をやってたら結果は目に見えている」(済々黌・池田監督)
だが4回裏、シナリオが崩れる。9番・沢田圭佑と1番・森友哉に連続ホームランを打たれるなど一挙に3点を許す。
「1本目のホームラン(左翼ポール際)は、まさか入ると思わなかった。それだけに、ショックでしたね」
それでも5回表に1点を返し、2-4と食らいつく。その裏には、ショートの西昭太朗がセンター前に抜けるかと思われる打球を好捕し、スタンドがどよめいた。
池田が説明する。
「同じ野球をやってたら、結果は目に見えている。だから、いつも言うことは、とにかく考えてやりなさいということ。配球とか、相手打者の特徴を考えて、1球ごとポジションを変えていた」
しかし、6回裏に今度は4番・田端良基にツーランを喫し、2-6と4点差に広げられてしまう。