野ボール横丁BACK NUMBER
公立進学校が大阪桐蔭に善戦。
済々黌がいつか“佐賀北”になる日。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/08/18 18:10
試合後、悔し涙を見せる済々黌の選手たち。熊本からやってきた大応援団は、大阪桐蔭の選手に「(済々黌の)アルプススタンドの黄色の大声援はかなりプレッシャーに感じました」と言わせるほどだった。
この夏、済々黌は「佐賀北」にはなれなかったが……。
済々黌はこれまで神村学園、長崎日大、東海大相模、西日本短大付などの全国的な強豪私学とも練習試合を組んできた。熊本大会の準決勝では、ここ2年で3回、甲子園に出場している断トツの優勝候補、九州学院を1-0で破ってもいる。だが、それらのチームと比べても、池田いわく「大阪桐蔭は別格だった」という。
「打球の質は、抜けてますね。スイングがとにかく速かった」
最終的に2-6で振り切られたが、得点差以上に、済々黌の善戦ぶりが印象に残るゲームだった。
試合後、池田は正直にこう打ち明けた。
「あわよくば……と思っていました」
見ている方も、そう感じた瞬間が何度かあった。
池田は、こう締めくくる。
「選手たちに情報は入れましたけど、カツを入れるということはなかった。まあ、ときには、抽象的なことを言ってしまったこともありますけど」
この夏、済々黌は「佐賀北」にはなれなかった。しかし近い将来、そうなる可能性を感じさせるチームだった。