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ジマーマンとセール。
~サイ・ヤング賞を争う若き有望株~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2012/08/13 10:31

ジマーマンとセール。~サイ・ヤング賞を争う若き有望株~<Number Web> photograph by Getty Images

ナ・リーグ東地区首位を走るナショナルズをストラスバーグとともに牽引するジマーマン。

後半戦のジマーマンが白星街道を驀進するための条件。

 だが6月16日以降の最近10試合は、素晴らしい快進撃だ。5勝1敗という結果も見事だが、62回を投げて自責点13(防御率=1.89)という安定感が群を抜いている。

 3年前に受けたトミー・ジョン手術の影響で球数を投げられない(今季100球以上投げた試合は7戦だけで、90球以下の試合が6戦もある)のはネガティヴな印象を与えるが、裏を返せば、与四球の数は非常に少ない。今季139回3分の1を投げて25個の四球という制球力のよさは、ジェレッド・ウィーヴァー(エンジェルス=131回で27個)やスコット・ダイヤモンド(ツインズ=114回3分の1で16個)らと肩を並べるものだ。

 ということは、いくらか上り調子になってきたナショナルズ打線の援護さえ受ければ、後半戦のジマーマンが白星街道を驀進するケースは十分に考えられる。15以上の勝ち星と2点台前半の防御率さえキープできれば、彼はナ・リーグのサイ・ヤング賞有力候補に躍り出るのではないか。

23歳のセールは、若き日のランディ・ジョンソンを思わせる大器。

 新顔のサイ・ヤング賞候補といえば、ア・リーグのクリス・セール(ホワイトソックス)も見逃せない。

 もちろん、このリーグには常連がずらりとそろっている。ジャスティン・ヴァーランダー(タイガース)、ジェレッド・ウィーヴァー(エンジェルス)、フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)といった面々だが、23歳のセールは、若き日のランディ・ジョンソンを思わせる大器だ。

 ただし、長身痩躯で横手投げの左腕で三振奪取率が高い、という共通点こそあれ、セールは新人時代のジョンソンほど荒れ球の投手ではない。8月6日までの与四球は132回を投げて31個。所属するホワイトソックスがア・リーグ中地区を制するようならば、セールの株も一気に上昇するのではないか。

 もっとも、ア・リーグの好敵手たちはナ・リーグよりきびしいかもしれない。ヴァーランダーは今季すでに6完投を記録しているし、最近10試合のウィーヴァーは、9勝0敗、防御率=1.60と凄まじい成績だ。こんな強者を向こうにまわして、セールはどこまでやれるのか。ジマーマンと並んで彼がサイ・ヤング賞に輝くようなら、球界の地図には新たな半島が付け加えられることになる。

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