なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
“ふだん通り”に戦ってカナダを撃破。
澤の復活で、なでしこが見せた実力。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/07/26 12:50
前半33分、大野→澤→大野とつなぎ、大野のトリッキーなパスを受けた川澄が角度の無いところから決めた先制点。巧みなコンビネーションから生まれた、なでしこらしい1点だった。
FWのポジションで水を得た魚のようだった大野。
澤は展開力、危機察知力など、試合勘はほぼ元に戻ったと考えていいだろう。体力的な復調具合は今後試合を重ねていかなければまだ判断できない部分はあるが、少なくともカナダ戦で90分を通して運動量が落ちなかったことは、日本にとってとても明るい材料だ。
そして本職のFWに戻った大野は、持ち味を生かして前線で暴れまわった。ボールを受けられるスペースを瞬時に探し出して敵ブロックの中へ果敢に侵入し、攻撃のポイントを作る。前を向ければドリブルで突っかけて敵の守備陣をパニックに陥れる――タッチラインを背負っている分、動き方や視野に制約のあるサイドハーフより、やはり大野はFWに向いている。カナダ戦での彼女は、まさに水を得た魚のようだった。
唯一の失点シーンでのミスなど、守備に関しては反省材料も。
また回数こそいつもほど多くなかったが、宮間あやと近賀ゆかりによる右サイドからの崩しも非常にスムースだった。
こと攻撃に関しては、試合後に佐々木則夫監督が、
「使っていれば決定機をもっと効果的に作れていた」
と語っていたサイドチェンジのパスが少なかったこと以外、及第点の出来だったのではないか。
もちろん、後半10分の唯一の失点シーンで起きた、ゴール前でのマークの受け渡しのズレや、正確なロングボールを放り込まれた時の対策など、守備に関しては反省材料はある。ただそれはビデオで確認して修正していくこともできるし、大会初戦であったことも考慮すべきだ。
グループリーグで最も重要と見ていたカナダ戦に2-1と勝利して勝ち点3を手にし、日本はグループリーグ突破に向けて大きく前進した。チームの本当の仕上がり具合は、固さのとれた次戦以降で明らかになっていくことだろう。