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五輪を巡るコーラ飲料2社の広告戦略。
競合は敵であるが味方でもある理由。
text by
葛山智子Tomoko Katsurayama
photograph byGetty Images
posted2012/07/03 10:30
2007年、コカ・コーラが主催する北京五輪の関連イベントに出席した中国を代表するアスリート。左からバスケットボールのヤオ・ミン、バレーボールのチョウ・ヌイヌイ、卓球のワン・リキン、水泳のグォ・ジンジン。
2012ロンドンオリンピックまで1カ月を切った。夏季オリンピックとしては第30回の記念すべき回となる。
今回は、オリンピックを支えるスポンサー企業の活動から、マーケティングの面白さと奥深さを実感する競争マーケティングについて考えてみたい。
2012年ロンドンオリンピックにはパナソニック、マクドナルド、P&G、コカ・コーラなどがスポンサーとして名を連ねるが、今回はコカ・コーラと、同社と世界でシェア争いを繰り広げるペプシをとり上げたい。
コーラ戦争ともいわれる激しいシェア争いを繰り広げているこの2社。両社とも多くのスポーツイベントやスポーツリーグ・チームのスポンサーとしてスポーツに関わりが深い。
たとえばコカ・コーラは、オリンピック、FIFAワールドカップなどの国際大会以外にも、日本では全日本少年サッカー大会、インターハイといったスポーツイベントにも協賛している。さらに本田圭佑選手、北島康介選手、石川遼選手、澤穂希選手ともスポンサー契約をするなど、我々がスポーツイベントを楽しむために必要不可欠な企業となっている。
コカ・コーラとペプシ、どちらが世界で飲まれている?
そのコカ・コーラとペプシ。世界ではどちらのほうが飲まれているのだろうか。
ここにこの2社の世界でのシェアを表した図がある。
出典:The New York Times 2007/05/27
この図をみてわかるように、コカ・コーラとペプシのシェアは国ごとに異なっているものの、世界規模ではコカ・コーラがリードしている。
コーラ飲料業界をリードし、1928年のアムステルダム大会よりさまざまな形でオリンピックを支援してきたコカ・コーラ。2008年の北京オリンピックでは、契約選手のバスケット選手ヤオ・ミンや2004年アテネオリンピックハードル金メダリストの劉翔など地元中国出身の有名選手を起用した広告を打ち出した。また、日本においても「コカ・コーラ オリンピック応援パーク」を開設し、オリンピック番組と一緒に見て楽しむウェブサイトを展開した。