野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
交流戦開幕! “ライバル宣言”に見る
選手間のオモシロ人間関係図。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/05/12 12:45
今年もこの季節がやってきた。
日本生命セ・パ交流戦。第一回の'05年から数えること今年で6回目と、最近では慣れてきた感もある。それでもセ・パの真剣勝負は日本シリーズだけで、村田兆治(ロッテ)vs.田代富雄(大洋)の真剣勝負なんて夢のまた夢でしかなかった子供時代を思えば、今の時代はなんて恵まれているのだろうと感謝せずにはいられない。
今もまだ失われぬ胸のトキメキ。今日からはじまるセ・パの決戦を控えた心境たるや、小学校の時の遠足前夜といったところか。そして、このワクワクは、プロ野球選手会が毎年HP上で発表する「遠足のしおり」的なツールによってさらに増幅される。
もはや交流戦になくてはならない必須のツール、それが「交流戦ライバル宣言」である。
これがまた、べらぼうに面白い。
選手たちのライバル宣言があまりにも“生の声”すぎる!?
日本プロ野球選手会に所属する全選手が、別リーグの6球団それぞれにライバルを指名し、その理由と当該選手へのコメントを載せているのだが、選手会が主導している安心感からなのか、交流戦のお祭り気分なのかは知らないが、選手のコメントもお約束のお題目ではない、限りなく“生の声”に近い発言が目に付くのが特徴だ。
ライバルを選ぶ理由は選手それぞれである。
「打ちたい」、「抑えたい」という野球人の本能的な欲求から、「学校・会社の先輩や後輩」、「同郷」、「同期入団」、「元チームメート」など人間関係的な理由、さらにはその選手の個性や、ライバル指名した選手との特異な関係性が垣間見える、興味深い記述も少なくない。
誰をどのように指名するかによって、各選手が対決に際して何に重きを置いているのかが、透けて見えてくるような気がするのも、このライバル宣言の面白さなのである。
そんな、野球ファンの妄想を最大限に掻き立てる、「ライバル宣言」。今年気になった宣言を、ありあまる妄想を交えながら、いくつかピックアップしてみよう。
ダントツのライバル指名を受けた“日本一”のダルビッシュ。
まず最初にセ・パを通じて最多100票というダントツのライバル指名を受けた、日本ハムのダルビッシュ有。各球団1人しか選べない投票システムために、同等の力を持つ選手がいるチームでは票が割れて不利にはなるが、それにしても、この数字はすごい。指名理由も、
「日本一の投手でもあるし、毎年対戦して楽しい」 (中日・井端弘和)
「誰もが認める投手なので打てば自信になるから」 (阪神・林威助)
など、「日本のエースを打ってみたい」というストイックな理由が最も多かった。100人の選手から首を狙われる栄誉は、ダルビッシュ本人も嬉しいに違いないだろう。
そのダルビッシュを「絶対的なエースだから」という理由でライバルに選んだ巨人の小笠原は、同じ理由で楽天・岩隈、ロッテ・渡辺俊介を挙げている。
ダルビッシュはともかく、小笠原のなかでは、楽天ではまだ田中は岩隈に及ばないと見ているのだろう。さらに、近年調子が上がらないながらも、渡辺俊介を“絶対的”とまで捉えているのは面白い。日ハム時代に相当イヤな目にあったのだろうか。