オリンピックへの道BACK NUMBER
4大会連続五輪出場の北島康介。
“4年間で0.01秒縮める”という凄み。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2012/04/25 06:00
200m平泳ぎの選考レースを終えて、会見する北島康介(右)と立石諒。北京オリンピックの際に話題になった名セリフ「なんも言えねえ」を自ら口にして会場を沸かせた。
開幕まで3カ月ほどとなったロンドン五輪に向けて、各競技で代表選考が本格化している。
若い選手の台頭も注目されるところだが、一方でロンドン五輪は長年活躍してきた第一人者たちの活躍が楽しみな大会でもある。
例えば、2000年のシドニー五輪から4大会連続出場となるハンマー投げの室伏広治、'04年のアテネ、'08年の北京に続く3連覇を目指すレスリングの吉田沙保里と伊調馨……。
競泳には、アテネと北京で平泳ぎ100、200m連続2冠の北島康介がいる。代表選考会となった4月初旬の日本選手権で、ロンドン五輪代表となった。初出場のシドニーから4大会連続の五輪出場となるが、これは競泳では史上最多である。
その日本選手権で見せた姿は、あらためて北島の凄みを感じさせるものだった。
異常なストレスをはねのけ、日本新記録で代表の座を射止めた北島。
競泳の代表選考は、実績も何も考慮せず、選考会の成績のみで行なわれる。選手にかかる重圧は計り知れない。
にもかかわらず、北島はそれを感じさせない泳ぎをみせつけたのだ。
最初の種目、100m決勝。
スタートから力みを感じさせない、滑らかなストロークでリードを奪う。前半を27秒69という速いタイムで折り返しながら、後半も衰えない。そのまま1位でゴール。タイムは58秒90。北京五輪の決勝でマークした日本記録(当時の世界新記録)を0秒01更新する日本新記録だった。
「4年に一回しか自分の記録を更新していないからね」
と、北島は笑った。オリンピックの年になって記録を伸ばしたところが、北島らしいところだ。
続く200mは、準決勝で全体の2位のタイムで、決勝に進む。
準決勝でトップに立ったのは、100mで2位となって五輪代表入りを決めていた立石諒だった。