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バルサのサッカーこそが
岡田ジャパンにつける薬だ!! 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byGetty Images

posted2010/05/01 08:00

バルサのサッカーこそが岡田ジャパンにつける薬だ!!<Number Web> photograph by Getty Images

監督3年目を迎えたバルセロナのジョゼップ・グアルディオラ。3冠達成後もチームの勢いを保ち続けているのは名将の証か

 チャンピオンズリーグ準決勝、対インテル戦のファーストレグで、バルサのグアルディオラ監督は、2人の左サイドバック(マクスウェルとアビダル)を試合の途中から同時にピッチに並べた。アビダルが怪我で戦列を離れている間、左サイドバックの位置を守ってきたマクスウェルを、左ウイングの位置に上げて使ったのだ。

 また、4月10日の対レアル・マドリー戦(クラシコ)でも、本来、右サイドバックを務めるダニエウ・アウベスを、アビダルとマクスウェルの関係のように、プジョルの上で右のウイングとして起用している。

 4-3-3の両ウイング(および4-2-3-1の3の両サイド)とサイドバックのポジションに、同じタイプの選手を当てはめるこのやり方は、もちろん今に始まったわけではない。

 しかし、今この時期に、このアイディアを見せられると、かねてからそれこそが岡田ジャパンにつける薬だと言い続けてきた僕には、ことさら眩しく見えるのだった。「これなんだよ、岡田サン」と言いたくなってしまう。

 日本ではまずお目にかかれない考え方であることは確かだ。似たような例は、駒野の上に三都主を置いたオシム采配しか思い出すことができない。少なくとも日本人指導者の間では、スタンダードな作戦ではない。

岡田ジャパンに必要なのは「バルサ式」の両サイドである。

 日本のサッカー界が、長い間3-4-1-2的な3-5-2と、4-2-2-2(ボックス型の中盤)に支配されてきたことと、それは大きな関係がある。両布陣の特徴は、サイド攻撃を担う選手が両サイド各1人しかいない点だ。それに慣れっこになってしまい、その結果、布陣が変わっても、両サイド各2人必要だとする考えが浸透していないのだ。サイドハーフやウイングが育つ気配はあまりない。

 だからと言って、3-4-1-2や4-2-2-2に引き返すわけにはいかない。岡田サンは「3バックも考えなければ」と言っているそうだが、その是非はともかく、サイドハーフやウイングの存在なしに4-2-3-1や4-3-3は遂行できない。

 その点も、岡田サンが3-4-1-2に戻したいと言い出した原因のひとつかもしれないが、そうした後ろ向きの言葉を吐く前に「バルサ式」をやってみろと言いたい。

【次ページ】 格上相手のW杯ではボールを「奪う」プレッシングに活路が。

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