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年齢別メンバー構成から見えてきた!
岡田ジャパン、最後の代表メンバー。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2010/05/03 08:00

年齢別メンバー構成から見えてきた!岡田ジャパン、最後の代表メンバー。<Number Web> photograph by KYODO

ベテランを入れるか、若手を入れるか……日本代表に与えられる最後の「改革」の要素をどう活用するのか。岡田監督の英断が求められる

 5月10日の日本代表メンバーの発表まで、1週間に迫った。岡田監督は、「メンバーの70、80%は決まっている」と述べており、残り数枠をどうすべきか、発表当日まで悩むことになる。選手選考は、監督の専権事項だが、過去のW杯のメンバー構成からはグループとして戦い、目標を達成するためのいくつかの必要な要素を見い出すことができる。

 過去のW杯で唯一、結果を出したのがトルシエの日本代表である。ホームアドバンテージはあるもののグループリーグを首位通過し、決勝トーナメント進出を果たした。この時、結果を出せた大きな要因のひとつが、「メンバー構成」だった。

過去のW杯メンバーを綿密に検証してみると……。

 日韓W杯のメンバーは、23歳以下は6名、29歳以下は14名、30歳以上は3名だった(メンバー発表時の年齢。以下同様)。主力の中田英寿は25歳、柳沢敦は24歳、稲本潤一、小野伸二、中田浩二らは22歳と、まだ若かった。最年長は、中山雅史で34歳、最年少は市川大祐の21歳だった。ちなみに、秋田豊は31歳、森島寛晃は30歳だった。

 3連敗したフランスW杯の時、メンバーは、23歳以下は7名、29歳以下は12名、30歳以上は3名だった。主力の井原正巳、中山雅史は30歳、山口素弘は29歳、名波浩は25歳、川口能活と城彰二は22歳、中田英寿は21歳だった。年長者はGK小島伸幸で32歳、最年少は小野伸二で18歳だった。

 2敗1分のドイツW杯の時、23歳以下はゼロ、29歳以下は20名、30歳以上は3名。30歳以上でレギュラーは川口能活だけで、主力の中田英寿、宮本恒靖、福西崇史らは29歳。小野伸二、稲本潤一ら79年組が多く、一番働ける年齢の選手で構成されていた。最年長はGK土肥洋一の32歳、最年少は駒野友一の24歳だった。田中誠(30歳)は、大会直前に怪我のために茂庭照幸と入れ替わった。

 注目したいのが、3つに分けた年齢層の分布だ。

ジーコが犯したチームマネジメントでの過ち。

 3大会を通して見るとドイツ大会の時は、その年齢層が歪なのがよく分かる。当時にも23歳以下の優秀な若手はいたし、将来を考えて入れておくべきだったが、一人も招集されなかった。ジーコは、将来性を選択せず、年齢が近い中堅選手のみで構成したのである。だが、逆にそれがチーム崩壊を招いた。みな、試合に出たい、プレーしたいという気持ちが勝り、チームのために犠牲となる精神を欠いてしまった。しかも、チーム全体に睨みをきかすベテランもムードメーカーもいなかった。宮本は、「マコ(田中誠)がいないのが痛かった」と述べたが、ベテランとしてチームを和ませ、一体感を築けそうな存在を、怪我とはいえ早々に帰国させたのは、ジーコの監督経験の無さが招いたチームマネジメントの失敗だったと言える。

【次ページ】 フランス大会と日韓大会のメンバー選出の違いとは?

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