日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
福西崇史が説くW杯最終予選の戦略。
ザックジャパンに必要な準備とは?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/03/16 10:31
ザッケローニ監督が気にしていたのはイラクを率いるジーコ監督の存在。「イラクに対して私が持っている情報よりジーコ氏が持っている日本サッカーの情報は多いだろう」と発言。イラク代表とは再び「ドーハの悲劇」の地で戦う可能性が高いという。
最大のライバル、オーストラリア戦での有利な点とは?
福西氏はオマーン、イラクに加えてヨルダンも「攻撃にしっかり人数をかけてくるし、組織的に戦えるチーム」と侮れない相手であることを強調する。福西氏が出場した'04年のアジアカップでも対戦してPK戦までもつれ込んでいる。
そして最大のライバルとなるのがオーストラリアだ。ジーコ同様に、レッズを率いたオジェックも日本のことをよく知っている。アジアカップ決勝では延長の末に勝利したものの、90分間では0-0だった。福西氏は「シンプルとは言っても高さ、強さがあって正面から当たると厳しい相手」と言う。ティム・ケーヒルやハリー・キューウェルなどタレントも健在だ。
ただ、アウェー戦が「6月3連戦」の最後に組み込まれたことはプラス材料だと言える。欧州組が日本で2試合こなした後、ほぼ時差なしでオーストラリアに乗り込んで戦える点は悪くない。
初戦のオマーン戦はカウンター対策の構築が急務!
いずれにせよ6月の3連戦、それも初戦でオマーンをしっかり叩いておくことが、流れをつかむうえでも肝要だ。福西氏はオマーン戦に勝利するための重要なポイントとして「平常心の共有」と「カウンター対策」を挙げる。
「チームで気持ちの温度差が出てくるのは避けなければなりません。先ほども言いましたが、気持ちが高ぶりすぎてしまうと普段の力を発揮できずに空回りすることがある。それがW杯予選ではやっぱり怖い。今回はオマーン戦の前に準備できる試合が入ってない。いきなり本番を迎えるわけだから、みんなで話し合って平常心で戦うことを確認して気持ちを合わせたほうがいい。
それと戦術的な課題を挙げると、たとえば2月のウズベキスタン戦では先制点を許してからサイドが左右とも上がってしまうなど前がかりになり、そこでカウンターを受けて危ないシーンをつくってしまった。中東のチームはカウンターが大きな武器だし、そこはしっかり修正しておきたいところ。あとは最後のフィニッシュのところで決めるべきところは決める。勝つという意識を強めたサッカーをしていってほしいと思います」
ロケットダッシュなくして、ブラジルへの道なし――。ヤマ場はいきなり訪れる。