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福西崇史が説くW杯最終予選の戦略。
ザックジャパンに必要な準備とは?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/03/16 10:31
ザッケローニ監督が気にしていたのはイラクを率いるジーコ監督の存在。「イラクに対して私が持っている情報よりジーコ氏が持っている日本サッカーの情報は多いだろう」と発言。イラク代表とは再び「ドーハの悲劇」の地で戦う可能性が高いという。
「技術もあり、しつこく戦ってくる」オマーン。
「僕たちのときも凄く苦しめられた相手だし、プレミアリーグのウィガンで活躍するGKのアルハブシを中心にして守備の強さを出しながら勝負してくるというところでは特徴も変わっていないと思う。グループ全体のなかで見てみるとオマーンの実力は低いのかもしれない。でも最終予選の初戦ということで日本の選手たちも相当に緊張するだろうし、得点が入らないとなると勝たなきゃいけないという気合いが空回りしてしまう怖れもある。欧州組には時差のコンディション調整という問題も出てくる」
ジーコジャパンでも2004年2月、アジア一次予選の初戦にオマーンをホームで迎えて苦しい戦いを強いられた。PKをアルハブシに止められてしまい、ロスタイムまでスコアレス。終了間近で久保竜彦がゴールを決めて、何とか振り切ったというゲームだった。
福西氏はこの試合こそ出場しなかったものの、7月のアジアカップ、10月のアウェーマッチでオマーンと対戦した。「思った以上に技術もあり、しつこく戦ってくる」という印象を持ったという。その2試合いずれも1-0という僅差のスコアだった。
岡田ジャパンではホームで3-0と快勝しているものの、W杯で日本に敗れたルグエンはリベンジの機会を窺っているはず。決して簡単な相手だとは言えないのだ。
イラク率いるジーコは、日本サッカーの弱点を知る男だが……。
6月の3連戦を乗り切った後にも嫌な相手が待ち受けている。ジーコ率いるイラクである。9月11日に日本のホームで対戦する。
イラクは3次予選を5勝1敗、勝ち点15でトップ通過を果たした。特に07年アジアカップMVPのエース、ユーニス・マフムードが6得点を挙げる活躍を見せ、チームに勢いも出ている。
「昨年のアジアカップで実際にイラクを見たのですがチーム全体に、ボールを持ったらまずマフムードを見るという意識が徹底されていました。トップで張っている彼にボールを預け、そこを突破口にしている印象です。彼はボールが来ないと下がってくる特徴があるので、なるべく前でボールを受けさせないようにしなければならない。
また、ジーコさんの存在も無視できない。日本人のプレーの特徴だけでなく気質なども熟知していますから、ゲームのなかでいろいろと揺さぶりをかけてくるかもしれない。日本とオーストラリアの争いになるとは思うが、実力的に言うとその次に来るのがイラクになる」