日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
福西崇史が説くW杯最終予選の戦略。
ザックジャパンに必要な準備とは?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/03/16 10:31
ザッケローニ監督が気にしていたのはイラクを率いるジーコ監督の存在。「イラクに対して私が持っている情報よりジーコ氏が持っている日本サッカーの情報は多いだろう」と発言。イラク代表とは再び「ドーハの悲劇」の地で戦う可能性が高いという。
B組=オーストラリア、日本、イラク、ヨルダン、オマーン。
ブラジルW杯アジア地区最終予選の組み合わせが決まった。クアラルンプールで抽選会が行なわれた後、日本で報道陣に応対した指揮官のアルベルト・ザッケローニは「どの国と一緒になっても同じだと思って(抽選の行方を)見守っていた」と静かな口調で語った。
日程 | 対戦国 |
---|---|
2012/6/3 | オマーン(H) |
6/8 | ヨルダン(H) |
6/12 | オーストラリア(A) |
9/11 | イラク(H) |
11/14 | オマーン(A) |
2013/3/26 | ヨルダン(A) |
6/4 | オーストラリア(H) |
6/11 | イラク(A) |
確かに第1ポットの韓国、オーストラリア、第3ポットのウズベキスタン、イラクはどちらが相手でも甲乙つけがたく、第4、第5はすべて中東(ヨルダン、カタール、オマーン、レバノン)であることを考えれば、A、B両組にそれほど大差はないだろう。
ただそれにしても日本に因縁のある相手がそろった。
2007年アジアカップ王者イラクは元日本代表監督のジーコが指揮官を務めており、ヨルダンは昨年のアジアカップ初戦で大苦戦した相手。オマーンにもドイツW杯アジア一次予選を含めて何度も苦しめられた過去があり、南アフリカW杯で対戦したカメルーンを率いたポール・ルグエンが監督を務めるという因縁だ。また、オーストラリアの指揮官は元浦和レッズ監督のホルガー・オジェック。アジアカップでドイツW杯の雪辱を果たしたとはいえ、このライバルには前回の南アフリカW杯最終予選で1分け1敗と勝てていない。
不気味な雰囲気漂うこのグループを、いかに突破するか――。ジーコジャパンの中心選手でオマーン、ヨルダン、そしてW杯でオーストラリアと対戦した経験を持つサッカー解説者の福西崇史氏に、そのポイントを聞いた。
ザックジャパンに絶対に求められるスタートダッシュ。
「6月の3連戦を何とか2勝1分けぐらいで乗り切らないと今後が厳しくなる。そのためにもオマーンをホームの初戦(3日)で叩いておくことが重要になります。続くヨルダン戦(8日、ホーム)、アウェーのオーストラリア戦(12日)との連戦に、勢いを持って臨むのと“何かおかしい”と思いながら臨むのでは違ってくるので」
福西氏が指摘するように、ザックジャパンに求められるのはスタートダッシュだ。
というのも来年6月のコンフェデレーションズカップに出場する関係で日本は第5ポットの日程に入ることが決まっていた。そのため日本は最終第10節(2013年6月18日)が空き日となり、前倒しで第9節(6月11日)に予選を終了することになる。他チームの状況を見ながら駆け引きすることが難しく、終盤戦はアウェーが続くこともあってスロースタートは命取りになりかねない。ゆえに初戦のオマーン戦がカギを握るというわけだ。
オマーンは3次予選でオーストラリアと同組に入り、最終予選に進出したチームのなかでは最低の勝ち点8(2勝2分け2敗)で突破している。興味深いのは6試合3得点で勝ち上がってきたこと。つまり守備が最大の持ち味。オーストラリアとタイにはアウェーで3点ずつ奪われたものの、他の4試合はすべて無失点で乗り切っているのだ。先制点さえ許さなければ、集中力を持続させてくるチームである。