ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
バーレーン戦で見せた成長と可能性。
関塚ジャパンが得た3つの武器とは?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto
posted2012/03/15 12:30
バーレーン戦で2点目を決めた清武弘嗣は試合後、「“経験”で済ますだけじゃなく、本当にメダルまで狙っていきたい。そのためにも、もっといいチームになりたい」と五輪本番へ向けて力強く語った。
「いやぁー、予選を突破するっていうのは、こんなに嬉しいもんなんですね。いや、もう、サイコーに嬉しいです!」
権田修一は「嬉しい」を連発し、ロンドンへの切符を手にした喜びに浸っていた。
3月14日、ロンドン五輪最終予選の最終戦となるバーレーン戦。U-23日本代表は2-0で勝ち、5大会連続となる五輪出場を決めた。
一時は危うい空気が流れた時もあった。
2月、アウェーでシリアに敗れ、予選グループC組の首位から転げ落ちた。普段は明るい選手たちもさすがに顔色を無くし、五輪出場に黄色ランプが灯った。だが、大量得点での勝利を義務付けられたマレーシア戦を4-0で快勝。自分たちのサッカーを取り戻して、最終決戦で結果を出した。
このバーレーン戦の勝利が持つ意味は、非常に大きい。
試合後、山口螢が「このチームには可能性がある。まだまだ成長しますよ」とコメントしてくれたが、まさに“日本の成長と可能性”を感じさせてくれる試合だった。
それは、3つの要素から見て取れた。
気持ちを表現するのが苦手なチームが、闘志を前面に出した!
まず、1つは「戦う気持ち」である。
このチームは仲は良いが、試合で闘志をむき出しにして戦うなど、気持ちを表すのがどちらかというと下手だった。
だが、シリア戦の敗戦で尻に火が付き、マレーシア戦ではナイーブなメンタルを封印。戦う気持ちを前面に押し出して、4-0で勝った。バーレーン戦は、そのマレーシア戦以上の気迫が選手から感じられた。
「今までは立ち上がりが悪くて失点することも多かった。でも今回は、立ち上がりからみんな集中して、ものすごく気持ちが入っていた。ほんと、一番良かったと思えるぐらいだったし、だからこそ序盤から相手を押し込めることができた」
東慶悟は、そう言った。
世界で戦うには、強い気持ち、溢れんばかりの闘志が不可欠である。極論すると、それがすべてを左右すると言ってもいいぐらいだ。その「戦う気持ち」を彼らは、ピッチ上で目に見えて表現できるようになっていた。