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青天霹靂のバレンタイン監督就任で、
来季のレッドソックスはどう変わる!?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2011/12/13 10:30
12月1日、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで新監督としての記者会見を開いたボビー・バレンタイン監督。「選手や球団経営陣とコミュニケーションを密に取り、私から組織の中に入っていきたい」と抱負を語った
まさか、ボビー・バレンタインがレッドソックスの監督に就任するとは、思ってもみなかった。私からすれば、予想外の人事である。
これまでも何度かバレンタインは監督候補として名前があがり、有力な候補と言われた時もあった。しかしそのたびに最後の最後で、他の人物に監督の座をさらわれてしまうのである。
いくつか原因が考えられるのだが、なかでも年俸がネックになるとされていた。中規模の都市にマーケットを置く球団ではとてもバレンタイン側が要求したとされる年俸は払えず、それならば選手に投資するよ……といったことが起きていた。
そうなると大都市、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスの球団に限られてしまうのだが(大物FA選手と同じような境遇だ)、たしかにボストンほどの資金の潤沢な球団ならばチャンスはあった。
それにしても、すでにESPNの解説者として地位を確立していたし、ユニフォームを着るチャンスはずいぶん少なくなっているだろうと予想していたので、決定のニュースを聞いて驚いてしまった。
ボビー監督就任で、レッドソックスはどうなる?
ボストンの地元紙では、早くもバレンタインと主力選手の確執は避けられないと予想している。
バレンタインは選手を批判することを躊躇しないタイプの監督だ。特に走塁や守備で怠慢プレーがあった場合は、記者会見でハッキリと名前を出して非難する。しかも監督として話題をどんどん振りまいていく。選手からすれば、付き合い方がむずかしい監督だ。
特に問題になりそうなのはエースのジョシュ・ベケットで、バレンタインは解説者としてベケットの投球間隔が長いことを痛烈に批判していた。エースが面白いわけがない。
さらにはケビン・ユーキリスも個性の強い選手だけに、彼をどのポジション、打順で使うかによっては、軋轢に発展する可能性があるかもしれない。