Jリーグ観察記BACK NUMBER
大宮アルディージャvs.セレッソ大阪。
2つの“非常識”に見た欧州との違い。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/09/24 08:01
9月18日に行われた大宮アルディージャ対セレッソ大阪戦。ドリブルで切れ込むセレッソ大阪の播戸竜二を囲む大宮の守備陣。試合は両チームともに決定打を欠き、0-0のスコアレスドローに終わった
年に1度の“お祭り”ならば“非常識”も悪くない!?
スタジアムの中も外も、1年に1度の開催を成功させたいという地元の人の思いが充満していたのだ。
年に1度であれば、恒例の“お祭り”として、Jリーグがあまり来ないスタジアムで開催するのも悪くないと思った。それが認知されれば、注目を高めるきっかけにもなる。ヨーロッパの常識に縛られず、柔軟に考えることの必要性をあらためて感じさせられた。
この他にも柏や甲府が国立でホーム試合を開催し、集客目的だと批判されることもあるが、主催者の盛り上げいかんでは特別なものにできるかもしれない。
だが、この試合で見られたもう1つの“非常識”の方は、どう見方を変えても、受け入れることができなかった。
飛車角落ちの試合を見せられるサポーターの気持ちは複雑。
Jリーグ第26節は、ロンドン五輪アジア最終予選の初戦(対マレーシア)に向けた合宿が行なわれたため、U-22日本代表の選手が不在のまま開催された。
大宮は東慶悟、セレッソは清武弘嗣、山口蛍、扇原貴宏の3人を欠き、まさに飛車角落ちのメンバーで試合をしなければいけなかった。
マレーシア戦の開催日は、26節の3日後の水曜日だ。土日にJリーグの試合に出てから集合し、そこから2日間練習を行なって臨むこともできたはずである。だが、日本サッカー協会はJリーグよりも五輪予選の初戦を重視し、前倒しにして選手を招集することを認めたのだ。
この原稿の締め切り時点では、マレーシア戦の結果がどうなったかはまだわからない。だが、日程的には試合に出られたのに、合宿を優先したのは過保護だし、チケットを買ってJリーグのスタジアムに足を運んだサポーターを裏切る行為だ。