オリンピックへの道BACK NUMBER
女子マラソンまでアフリカ勢が席巻。
世界陸上にみる日本のお家芸の衰退。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2011/09/12 10:30
23カ国の54人が出場した世界陸上女子マラソン。最初の5kmは18分34秒の超スローペースだったが、32km過ぎの給水地点からケニア勢がスパート
厳しい現実を見せつけられた。
韓国・テグで行なわれていた陸上の世界選手権が幕を下ろしたが、マラソンは男子、女子ともに、そう感じさせる結果に終わった。
大会初日の8月27日に行なわれた女子は、赤羽有紀子の5位を筆頭に、中里麗美が10位、2009年のベルリン大会で銀メダルの尾崎好美が18位、野尻あずさ19位、伊藤舞は22位。
最終日の9月4日の男子は、堀端宏行が7位、以下、10位に中本健太郎、18位に川内優輝、29位に尾田賢典、38位に北岡幸浩という成績だった。
男女ともに、メダル獲得はならなかった。
だが、「厳しい」と感じてしまったのは、メダルを獲れなかったということだけにあるのではない。
日本勢は、特に入賞した赤羽や堀端などは実力をすべて発揮したにもかかわらず、表彰台に届かなかった。万全だったはずの日本人選手たちとアフリカ勢との力の差を改めてまざまざと見せられたということが、厳しかったのである。
男女ともに上位を独占したアフリカ勢の圧倒的スピード。
今大会、男女ともに上位を占めたのはアフリカ勢だった。
女子は、優勝したキプラガト、ジェプトゥー、チェロップと、ケニア勢が表彰台を独占し、4位にはエチオピアのベケレが入った。
男子では、1位のキルイ(ケニア)から、6位のキプタヌイ(ケニア)まで、全員がアフリカの選手である。
もともと男子では、2000年代に入ってからアフリカの選手たちが絶対的なスピードを武器に世界の陸上界を席巻していたから今さら意外ということもない。
だから、今回は圧倒的に女子の方の衝撃が大きいのである。