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女子マラソンまでアフリカ勢が席巻。
世界陸上にみる日本のお家芸の衰退。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byHiroyuki Nakamura

posted2011/09/12 10:30

女子マラソンまでアフリカ勢が席巻。世界陸上にみる日本のお家芸の衰退。<Number Web> photograph by Hiroyuki Nakamura

23カ国の54人が出場した世界陸上女子マラソン。最初の5kmは18分34秒の超スローペースだったが、32km過ぎの給水地点からケニア勢がスパート

スパートをかけたケニア勢に日本人選手は置いてけぼり。

 これまでもアフリカ勢で強い女子選手はいたが、散発的に過ぎなかった。だが、男子と同様に女子でもアフリカ勢が席巻しそうな勢いを初めて見せたのが今大会だったのだ。

 女子のレースをあらためて振り返ってみたい。

 最初の5kmが18分34秒、その後も超スローペースで展開していたレースが動いたのは、32kmすぎ。

 キプラガトを中心に、ケニアの選手たちがスパートをかける。すると、日本の選手たちは誰もついていけず、そのままずるずると後方に位置してしまうことに。5kmのタイムが、それまでの18分前後から、30~35kmでは16分台と、一気に上がったのが原因だった。

 スローペースである以上、どこかで誰かがスパートをかける。それは赤羽も予想していたという。だが、ついていくことはできなかった。

「切り替えのスピードがすご過ぎました。思っていた以上のスパートで」

 と、この場面を振り返る。

女子マラソンにもついにアフリカの時代が到来!

 優勝タイムは、序盤からのスローペースが影響して2時間28分43秒にとどまったが、もともと言われていたアフリカの選手とのスプリント力の差が、如実に表れた場面だった。

 そして、優勝したキプラガトにかぎらず、ケニアを中心とするアフリカ選手の上位独占は、女子においても、アフリカ勢のポテンシャルの高さと、マラソンへの取り組みが本格化してきたことを示すものでもあった。

 こうして男女ともに、アフリカの選手たちが活躍した世界選手権だったが、その傾向は、今後も変わらないだろう。

 ロンドン五輪でも彼らを崩さなければ、表彰台はおろか、上位に喰い込むことさえ難しいはずだ。

 では、どのようにすれば対等に競い合う余地は生まれるのだろうか?

【次ページ】 自己ベストで劣る日本人選手に対抗策はあるのか?

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