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17連敗とマリナーズの未来。
~チーム低迷とイチローの選手生命~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2011/07/29 11:45

17連敗とマリナーズの未来。~チーム低迷とイチローの選手生命~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

ウエッジ新監督(左から2番目)の下、前半戦は大健闘していたのだが……

 マリナーズがやっと泥沼を抜けた。

 7月6日以降、1勝もできなかったのだが、27日になってようやくヤンキースを倒した。それも9対2。いままでの鬱憤を晴らすように打線が爆発した。イチローも久々の4安打。

 17連敗は、いままでのところ今季最多だ。チームとしてもワースト記録。あと2つ負ければ2005年のロイヤルズに並ぶところだった。23まで行けば1961年のフィリーズとタイになるところだった。史上最多記録はクリーヴランド・スパイダーズが残した24連敗だが、あれは1899年の出来事だ。

 しかも……。

 スパイダーズの場合は、大リーグ史上最も弱い球団(20勝134敗)だった。'61年のフィリーズは47勝107敗、'05年のロイヤルズも56勝106敗という惨憺たる成績でシーズンを終えている。

 だがマリナーズの場合は、7月5日まで勝率5割をキープしていたのだ。

 より正確にいうと43勝43敗。あの貧しい打線でなぜ勝てるのか、と観客に首をかしげさせる一方で、投手陣が踏ん張った。なにしろ独立記念日までは、3点以上取った試合の結果が37勝13敗。ア・リーグ西地区の混戦状態がつづくなら、プレーオフ進出の可能性も少しはあるのではないかと思わせる成績だったのだ。

 それが、一挙に崩れた。

マリナーズを突如襲った先発投手陣の崩壊。

 直接の原因は、先発投手陣の崩壊だろう。

 フェリックス・ヘルナンデス(7月26日まで8勝9敗、防御率=3.47)は7月6日以降、29回を投げて自責点が13だから、防御率が4.03の計算になる。

 こちらはまあまあの数字だが、もう一方の柱マイケル・ピニェーダ(7月26日まで8勝7敗、防御率=3.64)の崩れ方がひどい。7月6日以降、15回3分の2を投げて自責点が19ということは、この間の防御率が10.92。平たくいえばボコボコの状態である。打線はもちろん貧しいまま(今季のチーム打率=2割2分6厘、出塁率=2割8分9里、長打率=3割3分4厘。いずれもリーグ最低)だから、これでは勝てるわけがない。

【次ページ】 マリナーズ改革の柱とされたフィギンスの大ブレーキ。

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