オフサイド・トリップBACK NUMBER
監督の高齢化が進むプレミアで、
ビラスボアスに課せられた使命とは?
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byChelsea FC via /Getty images
posted2011/07/23 08:00
チェルシーの本拠地スタンフォード・ブリッジで行われた監督就任会見に臨むビラスボアス。その国籍や経歴からモウリーニョと比較されることが多いなか、会見ではあえてその“違い”を強調した
青年監督に寄せられるチェルシー復活と世代交代の期待。
ファーガソンとベンゲルという重鎮、しかもかつての保守党と労働党のように、アプローチもキャラクターも好対照な二人の名将が鎮座しているのも悪くはない。
とはいえ同じ顔ぶれが延々と君臨し続ける環境も、面白みには欠ける。大御所は大御所として鎮座し、そこに若手が挑んでいく構図のほうが見ていて楽しいし、サッカー界そのものも活性化する。(この課題はJリーグにも当てはまる。志の高い若手監督は時々台頭するが、嫌になるほどの存在感と圧倒的な強さを誇るベテラン監督はまだ誕生していない。むしろ高校サッカーの方が、名将VS.若手の構図は鮮明だ)。
自分に課せられた最大の使命がチェルシーの完全復活であることは、ビラスボアス本人が誰よりもわかっているだろう。
しかし彼は、監督の世代交代を促進するという、別の期待が寄せられていることも、うすうす感じているはずだ。アシスタントコーチを務めるのは、41歳のディマッティオ(前ウェストブロム監督)。現役時代チェルシーでプレーした経験が買われたにせよ、これまた大胆な選択だからである。
はたしてビラスボアスはきっちり結果を出し、世代交代の点でもスペシャルな存在になれるのか。お手並みをじっくり拝見したいと思う。