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リバプールが支払った27億円は妥当?
ダウニングの「プレミアム」の値打ち。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/07/24 08:00

リバプールが支払った27億円は妥当?ダウニングの「プレミアム」の値打ち。<Number Web> photograph by AFLO

19歳で代表デビュー、イングランドの左サイドを担うと言われたダウニングも今年で27歳。キャリア初のビッグクラブで持ち前の突破力を発揮することができるか

 近年の移籍市場では、「イングランド人プレミアム」という言葉をよく耳にする。外国人が多いプレミアリーグで、国産というだけで値上がりするイングランド人の移籍金のことだ。

 昨季からの“ホームグロウン・ルール”(1軍登録中に自国で育成された選手を一定数以上必要とする)導入もあって、プレミアムは高騰するばかり。昨夏、マンチェスターCによるジェームズ・ミルナーの獲得費用は2600万ポンド(約35億円)に上った。この6月には、ライバル勢による引き抜きを恐れたチェルシーが、ダニエル・スタリッジに2000万ポンド(約27億円)の値を付けた。

 ミルナーは25歳、スタリッジは21歳とまだ若いが、7年前には、2000万ポンドで18歳のウェイン・ルーニー(現マンU)が買えたのだから、割高感は否めない。

2000万ポンドでリバプールに移籍したダウニングの実力。

 7月13日にクラブ間で合意を見た、スチュワート・ダウニングの移籍金2000万ポンドも、やはり「プレミアム価格」と言われた。売手のアストンビラは、主力を失ったものの、2年前の購入費を差し引いた売却益が10億円以上。買手のリバプールでは、ファンサイトに「1カ月前に2000万ポンドを無駄遣いしたばかりなのに」といった書き込みが見られた。

 この無駄遣いとは、6月にサンダーランドから買ったジョーダン・ヘンダーソンのことだ。しかし、現時点では実績が乏しいイングランドU-21代表と同じ扱いは、ダウニングに対して失礼だろう。

 ダウニングのプレミアデビューは、17歳だった9年前。育成に定評のあるミドルズブラ(現2部)の傑作として、また、代表待望の左サイドの担い手として将来を嘱望されたウィンガーは、その後プレミアで経験を積んできた。

 アストンビラでの昨季は、プレミア全節での先発を含む44試合に出場して8ゴール9アシスト。安定したパフォーマンスの貢献度は、一足先に1700万ポンド(約23億円)でマンチェスターUに移籍した、アシュリー・ヤングに勝るとも劣らなかった。アーセナルのアーセン・ベンゲル監督も、サミル・ナスリが移籍した場合の後釜として目をつけていたという。

【次ページ】 ダウニングに付きまとう「マクラーレンの影」。

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