自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
“巨大宗教都市”としての東京を行く。
ご立派建築にイマドキの信心を見る。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2011/06/25 08:00
立正佼成会の大聖堂を望んでハイポーズ。とにかく圧倒的な存在感を誇る巨大建築です。一見の価値アリ!
旺文社の受験参考書を連想させるたたずまいって!?
この東京正心館で見ていても、このシンボルマークのOR(もちろんOkawa Ryuhoの頭文字)にしても「幸福の科学」という文字のフォントも、なんか「旺文社の受験参考書」の表紙にぴったりという気がしないでもない。
それにしても見上げるばかりのパルテノン神殿風だなぁ。
この東京正心館は「本部ではない」とはいうものの、大川教祖はこの建物の中で説法をし、その説法が全国各地の教団施設に衛星中継されるのだそうだ。
かつてこの場所を称するに「NHK交響楽団本部前」と言った。たしかに幸福の科学の向かいに“NHK SYMPHONY ORCHESTRA”と書かれた古いビルがある。でも、今では「幸福の科学前」である。当事者にとっては、さぞや「やれやれ」なんだろうなぁ。
なぜ変電所が地下にあるのか……港区高輪「高野山東京別院」。
この高輪には、もうひとつ、非常に奇妙な寺院があって、その名を「高野山東京別院」という。
高野山と言えば、もちろん空海の高野山・金剛峯寺、真言宗の本山である。大メジャーである。その東京本部がここということになるんだが、ふむ? 新宗教どころか、日本最名門の宗教のひとつではないの、教科書にも載ってるよ。いったいどこが奇妙なの?
もちろんそういう意味で奇妙なわけじゃない。
このお寺の変なところは、地下に巨大なる東京電力の変電所があることなのだ。
東京の地下構造物に詳しいジャーナリストの秋庭俊氏によると、この高野山東京別院、広大な敷地の地下に、なぜか地下五階、36メートルの深さに「東京電力 高輪変電所」があるのだそうだ。
延べ面積、東京ドームの半分ほどの大きさになるという。巨大な変電所である。
これを称して「秘密の地下要塞」なんてことをいう人もいる。特に「東電」というもの自体にある種の色がついてしまった昨今はね。
だが、実はこれ、普通に公表されている話でもあって、東電側もお寺側も別に変電所の存在を否定したりはしていない。
それにしても、なぜ変電所を造るために、お寺の地下をわざわざ掘らねばならんのだ? わざわざ掘ったというよりも、もともと地下に「謎の巨大空間」が存在し、寺はその後に建築されたからなのではないか、というのが、秋庭氏の見立てだが、私には分からん。
まあ土地のない都会のまっただ中、変電所も必要だろうし、寺も必要だろう、ということで、上下に棲み分けてるだけ、ということだってできる。地下の家賃(または地下使用権)を東電が払って借りて(または買って)いるのではないか、なんて思ったり。案外、これが一番正しかったりしてね。
でもま、とりあえず地上から、それと分かるものはまったく見えない。謎の施設といえば謎である。