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“巨大宗教都市”としての東京を行く。
ご立派建築にイマドキの信心を見る。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2011/06/25 08:00

“巨大宗教都市”としての東京を行く。ご立派建築にイマドキの信心を見る。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

立正佼成会の大聖堂を望んでハイポーズ。とにかく圧倒的な存在感を誇る巨大建築です。一見の価値アリ!

繁華街の横にひっそりと……渋谷区松濤「統一教会」。

 さて、高輪から古川橋交差点に出て、明治通りをまっすぐに北上すると、いつしか道は渋谷の繁華街に突き当たる。

 渋谷ってのは、私の学生時代(四半世紀前)には光り輝くような街に見えたんだけど、今では何だか薄汚れてしまったなぁと思う。

 何が悪いって落書きだ。

 なんだか太ったアルファベットのような、読めそうで読めないヘンな文様。タギング文字と言うんだそうだが、あれが、街中あらゆるところに描いてあって、どうもいけない。

 描く連中に言わせるとアートなんだそうだ。

 バカくさい。もしアートなんであれば、あれ描く連中は、自分の家にも描いてるんだろうな。他人のビルやシャッターには描くくせに、自分のところには描かないという理屈は成り立たんぞ。

 その落書きだらけのタマラン道を、渋谷川(途中から暗渠になる溝川)、道玄坂(居酒屋だらけのいわゆる“渋谷”)、宇田川町(かつての私にとっては“東急ハンズのある街”だった)、そして円山町(全国屈指のラブホテル街)などと寄り道しながら、いつしか松濤に入っていく。

 本来「松濤」という地区は、都内屈指の超高級住宅地であって、地価というだけで較べると、田園調布や成城などもかなわない。交通至便の森の住宅地、かつての東京都知事公館があり、数々のお屋敷があり、と、そういう街。

 その1丁目、渋谷の繁華街と面する、エッジ部分にあるのが、世界基督教統一神霊協会、通称、統一教会の本部だ。

 私自身は、さぞや派手派手な、韓国風建物でも建っているのかと思っていたら、おやおや目立たない。当初は見過ごしてしまったよ。

 クリーム色のただの古いビルである。しいて特徴を言うならば、窓がみんな真っ黒けで中がうかがえない、というくらいだろうか。

 でも、入り口には「世界……」と金プレートが小さく掲げられているんだよ。ふーむ、ひっそり閑とした感あり。

 まあ、イメージが悪いからね、統一教会は。どうしたって「霊感商法」やら「マインドコントロール」やら「集団結婚式」やらの語が先行して脳裏に浮かんでしまう。だから目立たないようにひっそりとしてるのかな。かつての迷惑行為は、結局、回り回って自らの首を絞めてしまった。宗教心はそれはそれで純粋だったのかもしれないが、完全に独りよがりで他人に迷惑をかけるだけ。タギング落書きと同じだ。

 そういえば、私がまだ大学生の頃、このあたりには「世界日報」との大看板があったような記憶がある。世界日報というのは“反共勢力の機関紙”というような位置づけの新聞だったんだけど、その看板のあったビルがこれだったか、そうではなかったか……。

 たぶんこれだったんだろうけど、今となってはそれをうかがわすものはない。ちなみに世界日報の本社は、現在、板橋区にあるそうだ。

【次ページ】 巨大伽藍に圧倒される……杉並区和田「立正佼成会」。

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