野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
12球団を襲う恐るべき「連鎖反応」。
交流戦で分かれた明暗を検証する。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/06/08 13:05
今オフにはメジャー行きを噂される川崎宗則も交流戦で活躍中。2008年、2009年と連続して交流戦を制覇したソフトバンクにあって、MVPにも選ばれたことも
上位チームも下位チームも、白と黒が続く続く……。
今年の交流戦、最も顕著なのが、ソフトバンクの10連勝、広島の10連敗ではあるが、シーズン最下位だったオリックスも開幕から一度も連勝がない状態から、交流戦直後に2連勝、3連勝を挙げ、現在も6連勝中で交流戦2位、ペナントの順位も4位まで上げた。交流戦で貯金をしたチームだと、日本ハムも連敗が1度だけで5連勝。中日は3連勝が3回と3連敗。西武は4連勝と3連敗で、ほぼトントン。
借金組では、不調の千葉ロッテは6連敗、4連敗。阪神は3連敗2回と4連敗。セ・リーグ首位のヤクルトも交流戦開幕直後の5連敗でペナントの勢いを落とし、一度は首位を中日に明け渡した。昨年9連敗を喫した横浜は、シーズンから続く6連敗を除けば、4連敗止まり。'08年からオリックス戦12連敗中ということもあるが……この結果は、健闘していると言えなくもない。
というわけで、上位のチームも下位に沈んだチームも、白と黒が続く続く。
しかし、なぜこんなことが起こるのだろうか。パ・リーグが強くてセ・リーグが弱いから? 巷で言われているように、2試合ずつ行われる日程が、勝てる先発を2枚持つチームに有利だから?
無い知恵を絞り、データを漁りながら、必死で考えてみたが、これがまた、よくわからないのですよ。
カープの連続無得点記録やダルビッシュの連続無失点記録も。
だが、調べているうちに連勝、連敗だけでなく、交流戦にはある傾向が見られることに気がついた。昨年も同日にロッテとオリックスが達成した「10打席連続安打」なんてギネス級の記録もあったが、今年の交流戦でも、このような「連鎖」が多数起きているのだ。
まずは「○○イニング連続」という記録。またカープで申し訳ないのだが、連敗中の5月26日西武戦~6月3日のオリックス戦までに4連続完封負けを含む「50イニング連続無得点」というセ・リーグ記録を打ち立ててしまった。阿南時代の再来は露か幻か。
そのカープに10連敗目を与えたソフトバンク山田大樹は、
「1点取られたからダメでしょう」
と、試合後のコメントで言っている。広島ファンからすればおかんむりなこの発言だが、決してカープ打線を貶める発言ではない。3回に失点したことで続けていた連続無失点が18イニングで途絶えたという背景があったからと推測する。
このイニング連続無失点は、今年の交流戦でさらに記録を伸ばしている投手が他にいるのだから無理もない。
5月の月間MVPになったダルビッシュだ。6月1日の阪神戦を完封で7連勝。35イニング連続無失点を継続させている。
このダルビッシュの好調が武田勝、吉川、ケッペルなど他の日ハム投手陣にも移ったのか、3日には、チーム全体で5試合連続無失点勝利という離れ業をやってのけ、イニング無失点記録もプロ野球タイ記録の52イニングにまで伸ばすという、大連鎖。
勢い余って武田勝は40イニング連続援護点なし、登板試合は5試合連続完封負けなんてパ・リーグ新(珍?)記録まで作ってしまったが、「努力しているけど報われない」と嘆く、世の武田勝的なポジションにいる人々からは熱烈な支持を集めたようだ。