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<現地取材> デンマーク 「10年目の真実」 ~南アW杯対戦国研究~ 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTsutomu Kishimoto

posted2010/01/04 10:30

<現地取材> デンマーク 「10年目の真実」 ~南アW杯対戦国研究~<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto

ポルトガル戦で貴重なゴールを決めたエースのベントナー(右)と、日韓W杯ではチームをベスト16に導くなど智将の呼び声高いオルセン

最大のキーマン、C・ポウルセンは“中盤のスイーパー”。

 ただし、デンマークの守備の特長をつぶさに検証すると、C・ポウルセンこそが最大のキーマンとして浮かびあがる。

 代表キャップ71試合と経験豊富で、フィジカル能力が高い守備的MF。ハンセン記者は彼の守備での貢献をこう表現する。

「“中盤のスイーパー”のような働きをしている。相手からボールをかすめとる、という表現がぴったりくるかな」

 彼はEURO2004のイタリア戦で一躍有名になった。粘着質な守備はもちろん、審判の見えないところで手を出し、足をふむ。執拗なマークに腹を立てたトッティは、ポウルセンに唾をはきかけてしまった。それが試合後に発覚、出場停止に追い込まれた。

 オルセンはC・ポウルセンを中心とした中盤とDFラインを絶妙に連携させ、鉄壁のディフェンス網を作り上げた。その結果、予選でポルトガルのロナウドや、スウェーデンのイブラヒモビッチといった超一流FWをも抑えることに成功したのだ。

 ノートにペンを走らせながら、ハンセン記者がロナウド対策を解説してくれた。

「個の能力で負けるのは選手達もわかっていたので、複数の選手で対応していた。ロナウドを抑えるために、スピードのあるウイングの選手に対峙させた。サイドバックがそのカバーに入り、状況に応じて中盤やセンターバックの選手もサポートに入っていた」

 中央で構えるイブラヒモビッチの場合はどうだったのか。

「センターバック一人がマークに付き、C・ポウルセンらがカバーに入る。イブラヒモビッチにボールが入っても瞬時に対応できるようになっていた。まぁ、スウェーデンの戦い方がロングボールをイブラヒモビッチに入れてくるだけの、あまりにお粗末なものだったのも事実だけどね(苦笑)」

攻撃の要はヴォルフスブルク所属のカーレンベルグ。

 一方、攻撃面でデンマーク国民の期待を集めている選手もいる。26歳のトーマス・カーレンベルグだ。今季ヴォルフスブルクに移籍した「10番」タイプのプレーメイカーである。

「彼はデンマークでクリエイティブなプレーの出来る唯一の選手。スピードはないが正確なパスで違いを作り出す」(ハンセン記者)

 オルセンは彼を左MFか左FWとして起用している。右利きのカーレンベルグは内に切れ込むことも多く、中央のトマソンとのポジションチェンジで攻撃に変化を与えている。

【次ページ】 予選1試合あたりの平均得点は1.6点。死角は得点力不足だ。

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