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<現地取材> デンマーク 「10年目の真実」 ~南アW杯対戦国研究~
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2010/01/04 10:30
ポルトガル戦で貴重なゴールを決めたエースのベントナー(右)と、日韓W杯ではチームをベスト16に導くなど智将の呼び声高いオルセン
賭けのオッズは2.5倍も地元メディアは「過去30年間で最低」。
現在、代表チームに対するデンマーク国内の期待は高い。デンマークのブックメイカー「ティップスブレーデット社」(12月9日時点)E組のオッズは以下の通りだ。オランダが1.5倍で本命、デンマークは2.5倍、カメルーン5倍、大穴の日本は15倍だ。
しかし、W杯欧州予選開始時は、デンマーク国内は悲観論に支配され、名将の更迭論まで飛び出していた。
「今の代表チームは、過去30年間でもっともレベルの低いチームだ」
予選開始直前に行われたスペインとの親善試合で0対3で一蹴され、予選第1節でハンガリーと引き分けた後、地元メディアは代表の戦いぶりをこう評していた。
ディフェンスを建て直し、グループ1位で欧州予選通過。
しかし、ここまでこき下ろされたチームが、結局は、ポルトガル、スウェーデンといった強豪をおさえ、グループ1位でW杯欧州予選を勝ち抜いている。いったいオルセンはチームにどんな“魔法”をかけたのだろうか。
予選開幕当時の低迷は、複数のレギュラークラスの選手が所属クラブでの出場機会を失い、本調子でなかったという事情はある。しかし、デンマークが飛躍した最大の理由は、最終的に予選を5失点で切り抜けたことからも分かるように、オルセンがディフェンスの建て直しに成功したことに尽きる。
なかでもセンターバックを務めるアッガーの成長は大きかった。オルセンはリバプール所属の25歳を予選を通じてDFの軸として起用。アッガーもその期待に応えて活躍し、オルセンも今では最大の信頼を寄せている。
アッガーに触発されるかのように、20歳のDFシモン・キアルも台頭した。オルセンは6月に代表に呼ぶと、4試合に出場させた。アッガーとのコンビはデンマークの最終ラインをより強固なものにしている。