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「もう野球はできなくなるのかな…」“プロ注の甲子園ベスト4投手”が数カ月で大学中退のナゼ…野間口貴彦が振り返る「プロ入りまでの波乱万丈」
posted2025/04/28 11:02

関西創価高では春のセンバツでベスト4まで進出した野間口貴彦。進学した創価大をわずか数カ月で中退し、その後の未来が大きく変わることになる
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph by
JIJI PRESS
失礼を承知で、取材の冒頭でオイシックス新潟アルビレックスBCの野間口貴彦ヘッドコーチにこんな質問を投げかけた。
「現役時代の頃、こうやって指導者になっている自分を想像していましたか?」
すぐさま野間口氏はこう返す。
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「いや、していなかったですよ」
ふと笑みをこぼして、さらにこう続けた。
「プロの頃は1年1年が勝負でしたし……。(現役を退いても)野球に関われたらとは思いましたけれど、何をしたいというのは考えていなかったというのが正直なところです」
「現場とフロント、両方を見ているんですよ」
昨季からNPBに参入したオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ。独立リーグに所属していた2021年から指導者となって5年目の今季、巨人で11年間プレーした野間口氏はチームディレクター兼ヘッドコーチに就任した。
「普通じゃあり得ないでしょう。現場とフロント、両方を見ているんですよ」と苦笑いを浮かべたが、その表情の裏には全くネガティブさを感じない。
「教えることは難しいです。(選手の)感覚の問題もあるし、自分自身、そういう(指導者としての)勉強をしてこなかったので。(指導者になることは)ないだろうなとは思っていましたけれど、たまたま新潟の方からそういうお話をいただいたので」
決断の決め手は、「自分のキャリアとして(指導者を)経験するのもいいきっかけになるのではと思った」からだという。
そんな野間口にどうしても「指導者っぽくない」イメージを抱いてしまうのは、さかのぼること20年以上、高校時代の野間口の姿をどうしても重ねてしまうからだった。