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MLBを席巻「魚雷バット」は“魔法のアイテム”なのか?「全員スイングスピードが上がったが…」じつは知られていない“本当の効果”

posted2025/04/10 11:06

 
MLBを席巻「魚雷バット」は“魔法のアイテム”なのか?「全員スイングスピードが上がったが…」じつは知られていない“本当の効果”<Number Web> photograph by Getty Images

ヤンキース打線の大爆発を契機に話題を独占する魚雷バット

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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 MLBを賑わす“魚雷バット”の登場。日本でも導入を検討することが報じられるなど、今後の動向が注目されている。そもそも、どんな経緯で誕生し、実際の効果はいかほどなのか。ニューヨーク在住でMLBを取材するジャーナリストがレポートする。【NumberWebレポート全2回の前編/後編に続く】

 まるで打ち出の小槌のように本塁打が飛び出すマジックバットが出現――。

 MLB開幕直後、最新のトレンドとなった“魚雷バット(Torpedo Bat)”の話題性は随分と凄いものがあった。始まりはやはり“世界の首都”、ニューヨークである。

 2025年開幕シリーズとなったニューヨークでのブリュワーズとの3連戦で、ヤンキース打線がメジャー記録の合計15本塁打と大爆発。特に3月29日の第2戦では初回に3者連続を含む4本塁打、ゲーム全体で9本塁打が飛び出した。ヤンキースではコディ・ベリンジャー、ジャズ・チザム、ポール・ゴールドシュミット、アンソニー・ボルピー、オースティン・ウェルズが使用し、この5人が最初の3試合で計9本のホームランを量産したことで、魚雷バットはまさに魔法の小道具のように思われたのである。

「コンセプトは理にかなっている」

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「コンセプトはとても理にかなっているし、私も納得している。出塁するといつもみんなが(バットについて)聞いてくるよ」

 ボルピーは笑顔でそう述べていたが、まるでボウリングのピンのような形と形容される魚雷バットのコンセプトは実にシンプルである。打球が最も飛ぶとされるバレルの位置をこれまでより手元にずらし、先細りになった変形スタイル。従来は先端から約10〜15センチのところにあったバットの芯が、約20〜27センチの位置に移動している。根元の方で打つ選手が多いというデータに基づいて重量配分を変え、簡単に言えば“ボールが当たりやすい場所に芯の位置をずらしたバット”である。

 それと同時に、先端が細くなっているがためにスイングスピードが速くなるという効果も生まれた。

【次ページ】 5人全員のスイングスピードが上昇

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