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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
MLBを席巻「魚雷バット」は“魔法のアイテム”なのか?「全員スイングスピードが上がったが…」じつは知られていない“本当の効果”
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2025/04/10 11:06
ヤンキース打線の大爆発を契機に話題を独占する魚雷バット
ヤンキースのアーロン・ブーン監督は「私たちはわずかな差でも上回ろうとしている。それはさまざまなところに表れ、バットのモデルもそうだ」と述べ、魚雷バットの誕生は球団としての努力の成果であることを強調していた。
「このオーガニゼーションはさまざまなことに投資し、あらゆる方法で向上しようとしている。(使用しているバットは)すべてがメジャーリーグの基準内だ。(バットの変化は)特に新しいことではない。できる限り選手たちをベストにしようと、より多くの人々が注力しているわけだから」
MLBで使用されるバットは最も太い部分の直径が2.61インチ(約6.6センチ)以下、長さが42インチ(約106.7センチ)以下と定められている。魚雷バットもその範囲に収まるのであれば規定内である。ロブ・マンフレッド・コミッショナーも「野球界にとっていいこと。このような議論があること自体、野球が私たちの文化で重要な位置を占めているということだ」と使用を支持する言葉をすでに残しており、だとすれば今後も多くの選手たちが試してみるに違いない。
注文殺到、吉田正尚もオーダー済み
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球界関係者によると、開幕時点で8チームが魚雷バットを保持していたが、ヤンキースの成功を見て追加注文が殺到。今では全チームがオーダーし、ダイヤモンドバックスのジェイク・マッカーシーは自ら注文したと明かしていた。4月4日からのフィラデルフィアでのフィリーズ対ドジャースのシリーズ第1戦の前には、フィリーズのカイル・シュワーバー、ブライソン・ストットらが打撃練習で魚雷バットを試し、ブライス・ハーパーも手に持って感触を確かめていた。
レッドソックスの吉田正尚も実戦での使用には慎重なものの、すでにオーダーしていることを明かし、復調への起爆剤になる可能性もある。このままいけば、シーズンが進むにつれて使用者が飛躍的に増えることも考えられるだろう。
もっとも、だからといってこのまま使用者がハイペースで本塁打を量産し続けるとは限らない。
「スイングの何かがおかしい」
実際に魚雷バットを手に打席に立ったある選手は、そう違和感を口にした。〈つづき→後編〉

