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「いま週7日働いてる」慶應大卒・元ラグビー日本代表はなぜ“人力車”を?「浅草に来た理由は…インバウンド需要だけじゃない」アスリート意外な転身
text by

谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byYuki Suenaga
posted2025/04/10 11:03

元ラグビー日本代表の児玉さん。朱塗りも鮮やかな浅草寺の東門「二天門」前で
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「ブラジル人の夫婦を乗せたことがありまして。旦那さんは120kgぐらいと言ってましたが、奥様のほうがさらに体格が良くて……あの時はさすがに大変でした。楽しんでもらわないといけないので表情には出さないよう努めましたが、汗が止まりませんでした」
偶然タイの有名人を乗せて…
毎日のように異国の人々に接していると気づきも多い。フランス人に声をかけた時は「私たちは馬車ですら抵抗があるのに、人間が引くなんて……」と返されて文化の違いを痛感した。あるタイ人を乗せた時はインバウンドの現実を突きつけられた。
「乗せた方がどうやら有名なコメディアンだったようで、通りに出ると歓声がわいて一斉にスマートフォンを向けられました。ってことはここにいるの、みんなタイ人なのか!って」
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ラグビーで培った走力とパワー、オーストラリアで2年間プレーした経験があって語学も堪能だ。コミュニケーションを取ることも性にあっていた児玉にとって、“令和の人力車”はまさにぴったりなセカンドキャリアだったのかもしれない。
人力車の仕事にやりがいを感じ、「引退したアスリートに勧めたい」という言葉にも偽りはない。ただ、児玉はその先を見据える人生プランも明確だった。〈つづく〉
