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「泣いても泣いても…」坂本花織が世界選手権2位で抱えた“悔しさの正体”…過去にもあった「屈辱的」な敗北からの復活劇
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/02 17:13

世界選手権で2位となった坂本花織は、悔しさを隠さなかった
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過去にも「屈辱的」と表現した出来事が…
それからしばし日が経ったあと、シーズンを振り返りながら、前シーズン、日本での世界選手権に懸けて練習していたことの反動があったこと、一人暮らしを始めた環境の変化等を理由にあげた。
「このうえない、屈辱的なものを感じました」
と全日本選手権を表したあと、こう語った。
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「もう、自分がやってしまったことだったので、やることができなかったのも自分のせい、してこなかったのも自分」
もうこんな思いはしたくない、しないために日々を過ごそう。そんな決意を込めた言葉だった。次のシーズン以降、坂本がシーズン全体を沈むことはなく、世界チャンピオンに昇りつめた。悔しさをばねにしてしっかりといかす誠実さと真摯さがそこにあった。
あのときと悔しい思いをするに至った過程は異なる。ただ、久しぶりに味わった悔しさは、あのときのように糧とすることができる。
「今までは連覇とか優勝候補とかあって、でも1回ゼロになれば、自分もすっきりスッキリするだろうし、追いかける立場になれたのは大きいなって思います」
来シーズンへの足がかりを得た坂本は、来たるべき4年に一度の大舞台へと進んでいく。
