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「ずっと同じではいられない」W杯で自身初の表彰台ナシ…28歳の高梨沙羅が語る“雌伏のシーズン” 悩むベテランゆえの難しさ「客観的だからこそ…」

posted2025/04/04 11:01

 
「ずっと同じではいられない」W杯で自身初の表彰台ナシ…28歳の高梨沙羅が語る“雌伏のシーズン” 悩むベテランゆえの難しさ「客観的だからこそ…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

今季、自身初となる「表彰台ゼロ」でシーズンを終えた高梨沙羅。来年に迫ったミラノ五輪に向けて本人が語った“現在地”とは?

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折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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Kiichi Matsumoto

 ノルディックスキーの女子ジャンプは3月21日にワールドカップの最終戦が行われた。日本のエースである高梨沙羅(クラレ)は、今シーズン最高順位が4位。個人総合で12位という結果だった。2月26日からノルウェーのトロンヘイムで開催された世界選手権でも、7大会目の出場だった高梨は、個人ノーマルヒルは14位でラージヒルは12位。

 雨が降る悪コンディションの中でアプローチの滑りに悩まされるなどの問題もあったとはいえ、ノーマルヒル団体とラージヒル混合団体でもともに5位と、納得できない結果に終わった。では、そんな雌伏のシーズンを、本人はどのように受け止めたのだろうか。《NumberWebインタビュー全2回の1回目/つづきを読む》

――初出場だった2011年大会6位以来、これまで6大会出場した世界選手権では混合団体で金1、銅2。個人では銀2、銅2のメダルを獲得しています。7回目の今回は「これまでとは違う気持ちで臨んだ大会」と話していました。どういう気持ちでしたか。

高梨 23年大会はケガで出られなかったので2大会ぶりでしたが、今までは「表彰台に上がれるかどうか」という前提がありました。でも、今回はそういう状況でもないし、技術的にも直さなければいけないポイントがたくさんあって。スムーズな流れで踏み切るジャンプができなかった試合だったと思います。

 長く競技をしている中で、ずっと同じではいられないと思うし、道具の変化やルールの改正もある中では、こういった経験も自分にとっては必要だったのかなとも思います。もう一度、考え直さなきゃいけない時期でもあるのかな……と思いながら過ごしていました。

「第三者的に自分を見てしまっていた」

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――以前は何も考えないで臨めたけれど、今は冷静に……というか、いろいろ考えながらですか。

高梨 いいのかどうかわからないですけど、第三者的に自分を見てしまっていたのはあるかもしれません。良くも悪くも、俯瞰して見ている自分がいる。傍から見ている感じだから読み取れる情報もあれば、客観的だからこそ入り込めない自分もいたりしています。

――世界選手権では公式練習では、距離点とウインドファクター、ゲートファクターの合計得点では2本目に3位、3本目は1位といい結果でしたが?

高梨 そこで安定させられないのが今の私の弱さだと思います。俯瞰して見てしまっているからこそ、いろいろ試していて。何か決まったルーティンがあるわけではないので。なにか試してみて「これは駄目だった」、また試してみて「これはハマった」みたいな感じだったと思います。そこで自信を持てたら良かったんですけど、目の前に直さなければいけないところがあるので、そっちにアプローチしたくなってしまった感じです。

【次ページ】 ジャンプ競技で「長く活躍する難しさ」

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