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「一番厄介だったルール変更は?」高梨沙羅に聞いてみた“ジャンプ競技特有”の難しさ「2シーズン前にあった…『本当に何なんだろう』と」
posted2025/04/04 11:02

今季、自身初となる表彰台ゼロでシーズンを終えた高梨沙羅。たびたび行われるルール改正にも翻弄されている印象だが、当人の胸の内は?
text by

折山淑美Toshimi Oriyama
photograph by
JIJI PRESS
ノルディックスキーの女子ジャンプは3月21日にワールドカップの最終戦が行われた。日本のエースである高梨沙羅(クラレ)は、今シーズン最高順位が4位。個人総合で12位という結果だった。2月26日からノルウェーのトロンヘイムで開催された世界選手権でも、7大会目の出場だった高梨は、個人ノーマルヒルは14位でラージヒルは12位。
雨が降る悪コンディションの中でアプローチの滑りに悩まされるなどの問題もあったとはいえ、ノーマルヒル団体とラージヒル混合団体でもともに5位と、納得できない結果に終わった。では、そんな雌伏のシーズンを、本人はどのように受け止めたのだろうか。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》
経験値が増えることの「デメリット」
経験値が増えれば増えるほど、考えることは増えてくる。何かあった時には積み上げてきた経験の引き出しは貴重な存在になるが、多くなればなるほどマイナスの引き出しを開けてしまうこともあるとも聞く。
高梨沙羅はその選択の善し悪しも経験や、感覚が左右するのではないかという。
「ジャンプは感覚のスポーツなので。シンプルであるがゆえに感覚が重視される。でも、毎日同じ感覚で生活しているように思えても、しているようでできていない。その日の体調や体の感じも違うし、同じようにアプローチ姿勢を組んでも『今日はちょっとお尻が低いから少し上げなきゃいけない』とか。それも経験なのかもしれないですね。
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いかにメンタルをフラットにするかではないけど、心のおもむくままに生活していると多分安定しなくなってしまうとは思うので。何かひとつ、自分の中で落とし込めるところがあったりするのは大事なのかもしれないです」
――18年の平昌五輪後は、イチからジャンプを作り直そうとアプローチの滑りから取り組んでいました。22年北京五輪の後はコーチも変えて小林陵侑選手たちと合流していろんなことにチャレンジしている最中だと思います。今シーズンは踏み切りから空中への移行も安定してきていると感じますが。
高梨 いろいろ手探りではあると思いますが、まとまりつつはありますね。でも、まだやっぱり足りない部分もあって。少し全体の流れのスムーズさに欠けるんです。形ができていても、結局そこに力がないと……というのはあるので、もうちょっとスムーズに、何も考えずとも体が動くくらいにはしていかなければいけないなと思います。