「ずっと同じではいられない」W杯で自身初の表彰台ナシ…28歳の高梨沙羅が語る“雌伏のシーズン”　悩むベテランゆえの難しさ「客観的だからこそ…」 

――キッカケがあれば急に変わることもある、と。

高梨　一度結果を残せたら、そこから上がっていけるものだし、シンプルなスポーツだからこそメンタル面などできっかけをつかむことが大事なのかなと思います。やっぱり競技をやっていると、会場を沸かせられることも大切かなと思いますし。ビッグジャンプをしたいという気持ちもあるんですけど、「なかなか昔みたいに会場を沸かせることができないな」というもどかしさもあります。何が足りないのかを考えすぎて、うまくつながらない感じがしていて、噛み合わない感と言うか……。

――個人11戦目の札幌大会後には「自分の一番の後悔は、小さい頃にテレマークを入れる練習をしていなかったこと」と話してもいました。でも、あれだけ飛んでいたら周囲も全部オッケーしてしまいますね……。

ADVERTISEMENT

高梨　当時は誰も教えてくれなかったですからね。「テレマークを入れる」というのが何なのかすらも知らなかった。本当に今となっては後悔ですけど、もうちょっと教えて欲しかったですね（笑）。

ワールドカップ個人最終戦で笑顔を見せる高梨　©JIJI PRESS

「昔とまったく一緒の気持ちになれるかと言われたら…」

――一方で、これからあの頃のように何も考えずにポンと飛べてしまうような機会が何回かあれば、気持ちも一気に変わっていくのではないですか。

高梨　やっぱりピークの時というのは、気持ちだけで飛べるんです。踏み切りのタイミングが遅れても、何かミスをしても、K点から5mくらい先までは飛んでいける……みたいな時期はあって。だからそういうフェーズに持っていけるかどうかの話ではあるんですけど、やっぱり昔とまったく一緒の気持ちになれるかと言われたら「どうかな？」とも思います。いろんな経験をしてきている中で、考えてしまうのかもしれないですね。

＜次回へつづく＞