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「100%準備はできている」角田裕毅レッドブル昇格! トップチーム起用の真相をホーナー代表は「野望達成のための純粋な決断」《日本GPでデビュー》
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尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool
posted2025/03/28 11:04

昨年12月の最終戦アブダビGP後、レッドブルの2024年型RB20でテスト走行した際の角田
この議論にはホンダも加わった。角田はレッドブル・グループによって育てられたドライバーであると同時に、ホンダの育成プログラム出身でもある。角田に関する決定には、レッドブルは事前にホンダと協議しなければならない。
昨年の12月に行われた話し合いの内容について、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、こう説明した。
「クリスチャン(・ホーナー代表)らレッドブルの首脳陣と直接会い、『角田選手はすぐれたドライバーなので、テスト走行の結果を適正に評価して見極める必要がある』とレッドブル側に伝えました。クリスチャンも『そうだね』と理解していました」
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しかし、レッドブルが総合的に判断して下した結論は、ペレスに代わってRBで角田のチームメートだったリアム・ローソンを乗せるというものだった。
ドライバー交代決断の理由
ところが、そのローソンがプレシーズンテストから不調だった。開幕してからも調子が上がらず、オーストラリアGPの予選ではいきなりQ1で敗退。レースも単独クラッシュで終えた。2戦目の中国GPでは予選でまさかの最下位。この結果にチームはピットレーンスタートを覚悟したうえでセットアップを見直してレースに臨んだが、それでもペースは上がらなかった。ローソンは「マシンの感触はメルボルンよりも難しく感じた」まま、上位3台が失格による繰り上がりで12位という結果に終わった。
この結果を受けてレッドブル・グループの首脳陣は緊急会議を開き、昨年12月に一度は落選とした角田にチャンスを与えることを満場一致で決定した。
ホーナー代表はローソンに代えて角田を起用した理由を次のように語った。
「開幕から2レースでリアムがRB21で苦戦しているのを見るのは辛かった。我々は25年シーズンに、ドライバーズチャンピオンの防衛とコンストラクターズタイトルの奪還という2つの野望を抱いて臨んでおり、この決定はそれを達成するための純粋なスポーツ的な決断だ。ユウキの経験はわれわれのクルマの開発にも役に立つだろう」