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史上初の兄弟によるタイトル争いの可能性も…マルケス兄弟2戦連続1−2フィニッシュで際立つ、弟アレックスの奮闘《初優勝間近か》
posted2025/03/22 11:02

2戦連続2位と絶好調のアレックス・マルケス。MotoGPクラスでの初優勝も視界に入ってきた
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遠藤智Satoshi Endo
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Satoshi Endo
開幕戦タイGPで予選、スプリント、決勝レースを完全制覇し、早くも今季の王座確定かと思えるほどの強さを見せたマルク・マルケスが、第2戦アルゼンチンGPでも同じく完全制覇の戦いぶりで2連勝を達成した。まさに天下無双の戦いぶりだが、注目したいのはもうひとりの「マルケス」だ。マルクの実弟にあたるアレックスが、2戦連続で予選、スプリント、決勝レースで兄に次ぐ「完全2位」となり、最高峰クラスを兄弟で席巻しているのだ。
開幕戦タイGPでは、最高峰クラスでは史上初となる兄弟での1−2フィニッシュを達成したばかり。その記録を2戦連続へと伸ばした。
振り返ればマルケス兄弟は、これまでも多くの記録を残してきた。
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2014年には兄マルクがMotoGPで2度目、弟のアレックスがMoto3でチャンピオンになり、史上初の兄弟同時チャンピオン獲得を達成した。19年にはマルクがMotoGPで6度目の、アレックスがMoto2のチャンピオンになり、2度目の同時世界チャンピオンに輝いた。マルケス兄弟はその他にも同一大会同時優勝などいくつかの兄弟記録を樹立してきたが、昨年のドイツGPでは、97年のイモラGP(当時500ccクラス)で青木宣篤&拓磨が2位&3位になって以来、27年ぶりに最高峰クラスで兄弟同時表彰台を獲得。同一チーム(チーム・グレッシーニ)では初の快挙を達成したばかりだった。
無双状態の兄に比肩する弟の頑張り
今年はマルクがドゥカティワークスへ移籍、その兄に追いつき追い越そうとするアレックスの頑張りで、シーズン序盤からとんでもない記録が樹立された。
開幕戦、第2戦ともに展開は似ていた。開幕戦タイGPは26周のレースで、序盤の6周でマルクが先頭を走り、7周目から22周目まではアレックスが入れ替わったが、終盤の23周目にマルクが逆転して優勝した。第2戦アルゼンチンGPは25周で行われ、4周目にアレックスが首位に立ち、17周にわたってトップを走るも、終盤の21周目にマルクが逆転するというレースだった。
タイGPでマルクが一時トップを譲ったのには、タイヤの内圧コントロールという戦略的な理由があった。しかし、アルゼンチンGPではマルクのミスをついてアレックスが首位に浮上。終盤に逆転したものの、マルクにとってはギリギリでの勝利獲得だった。