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青学大の箱根駅伝“黄金の4連覇”を支えた「二軍寮」のナゾ…原晋監督は「這い上がってこい」でも「崖っぷちなのは事実」 経験者が語るサバイバル
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by(L)JIJI PRESS、(R)本人提供
posted2025/01/21 11:01
2015年から2018年まで、箱根駅伝4連覇という偉業を達成した青学大。その金字塔を支えた“叩き上げ”選手を生んだ「二軍寮」のリアルを聞いた
隙間風が吹き込むボロアパートの一室に身を寄せ合って生活し、冷や飯をかき込む――二軍寮と聞いて、そんな劣悪な環境を思い浮かべていた。しかし、池田さんに当時の二軍寮の実態について話を聞いていくと、想像とは全く違うリアルが見えてきた。
「今は一軍の寮も改装されてきれいになったと思いますが、当時は二軍寮のほうがきれいでした。それに(練習の拠点となる)相模原キャンパスが近いし、大学内にあるジムも使えます。二軍寮は劣悪どころか、練習しやすい環境が整っていました。
食事も一軍の選手と同じものを食べられます。町田寮へはキャンパスから配達されるので冷えてしまいますが、二軍寮の選手はキャンパスの学生食堂で出来立ての温かいものが食べられるので、食事に関してはむしろ二軍のほうがいいぐらいです」
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池田さんは相模原キャンパスに通っていたこともあって、なおのこと二軍寮にいたメリットは多かったという。
名前の印象とは裏腹に…「練習環境的には良かった」
池田さんと同じ時期に二軍寮で生活を送っていた、トレイルランナーの田村健人さんにも話をきいた。彼の二軍寮への印象もまた、おおむね池田さんと同じだった。
「競技場が近いので、他の人と比べて早く練習ができるし、遅くまで残れる。練習環境的には良かったです。大変なのは、青山キャンパスに通っていたので、大学がちょっと遠くなったことぐらいですね。1、2年生の時はほぼ毎日授業があったので……」
東京・表参道に通う田村さんにとっては通学が少しだけ不便になったぐらいで、そこに目をつぶれば、特に不満に思うことは少なかったという。
二軍寮は、グラウンドがある相模原キャンパスのすぐ近くにある。
3LDKのマンションを2部屋借り上げて、それぞれの部屋に選手4人とマネージャー1人、計10人が暮らしていた。
選手は2人で1部屋、マネージャーは倉庫のような個室を使用。町田寮も2人1部屋だが、町田寮が2段ベッドだったのに対し、二軍寮はそれぞれの部屋にベッドもしくは布団を並べていた分、少し狭く感じたという。