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「なぜタイムが伸びないんだ…」箱根駅伝“あの天才ランナー”吉居大和の苦悩…1区独走で衝撃の区間新、“史上最高の2区”も区間賞のウラ側「意地張っていた」

posted2025/01/18 11:05

 
「なぜタイムが伸びないんだ…」箱根駅伝“あの天才ランナー”吉居大和の苦悩…1区独走で衝撃の区間新、“史上最高の2区”も区間賞のウラ側「意地張っていた」<Number Web> photograph by AFLO

2020年12月の日本選手権、当時中央大1年生だった吉居大和は5000mで3位に入賞

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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吉居大和、22歳(トヨタ自動車)。中央大2年時に衝撃の1区区間新、3年時は“史上最高の2区”を制して区間賞と、箱根駅伝で鮮烈な印象を残した。快進撃のち苦悩の日々、箱根で高まった知名度、トヨタ1年目で涙した理由……世代No.1ランナーが語った“今”。【全3回の2回目】

◆◆◆

 箱根駅伝より5000m。中央大に入学する前、吉居大和はそう考えていた。大学1年時に自己ベストを次々に更新。2020年12月の日本選手権で3位入賞、13分25秒87はU-20の新記録でもあった。1年延期された2021年夏の東京五輪への出場権が手に届く位置にいた。

 だが、ここでトラック競技の快進撃が止まる。

快進撃から一転、「記録が伸びない…」

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「結局5000mは、大学1年で出した記録(13分25秒)が、今に至るまでのベストなんです。2年生の時なんかは13分台で走るのもやっとみたいな感じでした」

 1月の箱根駅伝から、東京五輪出場をかけた6月の日本選手権の間は、アメリカ合宿にも参加していた。五輪、それもメダルを本気で目指すアメリカ人ランナーたちを間近で見て、度肝を抜かれた。日本の世代No.1だった吉居は、そこで世界を知った。

「めちゃくちゃ速くて。練習のペースについていけないんです。現地で2本くらいレースも出たんですけど、全然ダメでした。記録も出なくなった。前の年はトラックでトントン上がっていたのに……なんで?って感じで」

 東京五輪は逃した。思い出したくない時期なのだろう。「(日本選手権の)記録ですか? もう覚えてないです」。やや投げやりな口調になった。結果は13分53秒31で16位。出場権を得た1位の遠藤日向(住友電工)は13分28秒67だった。

「意地を張っていた」大学1年時の後悔

 なぜ突如、5000mの記録が低迷したのか。吉居は言う。

【次ページ】 箱根1区の区間新ウラ側

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