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「こ、怖かったです…」箱根駅伝“史上最激戦”4つ巴のシード権争い…トラブル連発でも東洋大「20年連続シード権獲得」“涙のアンカー”の本音 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/01/04 17:36

「こ、怖かったです…」箱根駅伝“史上最激戦”4つ巴のシード権争い…トラブル連発でも東洋大「20年連続シード権獲得」“涙のアンカー”の本音<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

最終10区で「4つ巴」の争いを制して箱根駅伝20年連続のシード権獲得を決めた東洋大。ゴールに至るまではトラブル続きの箱根路だったという

 自ら走れないと申告してきたキャプテン。酒井監督は「もう1日だけ様子をみよう」という判断をしたが、やはり改善できず。この直前の状況を4区を走った岸本遼太郎(3年)も「うわ、梅崎さんも走れないんだと。嫌な予感が頭をよぎりました」と振り返る。

 2年連続で2区を走る予定だった大黒柱を欠くことで、区間配置も大きな変更を余儀なくされた。オーダーを組むのもまさに「突貫工事」(酒井監督)だったという。

 ただし、今季のトラックシーズンで見事に復活した石田と、U20世界選手権にも出場している期待の1年生・松井海斗に関しては、12月10日のエントリーの段階から「箱根で走れるかどうかわからない」状態だったという。

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「石田はアキレス腱を痛めていましたし、松井は首のオペ(手術)をしていましたから。もちろん16名中2名、そういった状態の選手を入れるリスクはありました。でも、石田や松井は天性の能力を持っていて、感覚がとても繊細。何かきっかけをつかむと一気に状態を上げてくる可能性がある選手です。だからその可能性にかけてみました」

 最終的には石田は12月に入ってから再びアキレス腱を痛め、松井は最後まで5区で走る可能性もあったが「接戦が予想され、気温も高い中でギリギリまで絞り出して走らせるリスクがある」と判断して外した。しかも、7区にエントリーされていた濱中尊もアクシデントで起用できなかった。

流れを変えた4区・岸本の激走

 そんな薄氷を踏むようなチーム状況の中で、酒井監督が今回の「殊勲賞」と語るのは、4区の岸本だ。16位で襷をもらうと、見事に7人抜き。区間3位の走りで流れを変えた。

「岸本には救われましたね。箱根駅伝全体のレベルが上がっていて、今は区間3番以内の快走をしないと順位を上げられませんから。岸本の強みですか? 本番に強いというか、合わせられるというか、大きな舞台で自分の走りをイメージできるタイプですね。もう練習とは全然走りが違いますから。練習では部内でも強くないですし、何せ遅刻魔ですから(苦笑)。遅刻魔がチームを救ってくれました」

【次ページ】 急遽、起用のルーキーたちも堅実な走り

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