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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「上沢直之ソフトバンク入り」は“恩知らず”か? 野村克也監督の“右腕”に聞いた「ストーブリーグの論点」「メジャー挑戦はもう止められない」
posted2024/12/25 11:47
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
KYODO
「ストーブリーグ」の言葉通り、連日ファンに熱い話題を提供しているプロ野球。動きが最も活発化するのは真冬だが、実は各球団とも夏場にはすでに翌年に向けたチーム編成にとりかかっている。
「各球団の編成が最初に話し合うのは戦力外の対象選手です。レギュラーシーズン終了直後に通告が始まるので、その人選は夏過ぎから始まる。同時に、高校野球の夏の大会が終わる時期から、ドラフト動向についても話し合います。チームを去る選手と入ってくる選手。その戦力の流れを見極めるのがベースになります。次に戦力補強という視点でFAになる候補選手の検討が始まって、9月中には大体の組み立てができている。そこから実際に動き出していくわけです」
2年先、3年先も見据えて…
編成担当者の腕の見せ所はここからだ。FA交渉や外国人選手の獲得は他球団の出方次第で流動的となるため、補強ができなかった場合のプランを常に用意し、状況に応じて切り替えていく必要がある。
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「狙っていた選手が獲れなかった。じゃあそのポジションはどうやって埋めていこうとか、戦力外になっている中からこの選手だったら獲れるとか、色々検討してなるべく理想に近い状態にしていくという感じです。最近はFAの動向と外国人の動きがチーム編成の大きなウエートを占める。今はドラフトで獲得した有望な選手が育ってもアメリカに行ってしまうので、その辺りも含めて2年先、3年先のことも考えていかなければいけないのが難しいところです」
FA交渉の苦労
松井氏は、阪神・野村監督のもと1999年にヘッドコーチに就任。野村監督の退任後も球団に残り、2002年から3年間、編成担当をつとめた。楽天で現場復帰した後、ヤクルトでは14、15年に編成部長を任された。最下位に終わった14年のオフシーズンには、日本ハムからFA宣言した大引啓次内野手と、ロッテからFA宣言した成瀬善久投手の獲得に尽力。ヤクルトが同時に2人のFA選手を獲得したのは初めてだった。
「あの年は内野手がいなくてね……打撃投手を野手として育成契約してファームの試合に出したこともあったほどでした。また、前年のオフにはFAで(当時中日投手の)中田賢一の獲得に動いたが叶わなかったことがあり、大引と成瀬というのは補強ポイントに適っていた。2人が、FAの目玉選手というわけではなかったことも良かったですね。大争奪戦にはならないけれど、ヤクルトに来れば確実に戦力になる。そこを狙って行った」