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「“クビになった保険”で大学進学は…」「高卒30歳で正規就職は困難」トッププロを逃した元選手が伝えたい“サッカー引退後”を考えた人生

posted2024/12/28 17:02

 
「“クビになった保険”で大学進学は…」「高卒30歳で正規就職は困難」トッププロを逃した元選手が伝えたい“サッカー引退後”を考えた人生<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

日本代表など、スターダムに駆け上がれるサッカー選手は一握りだけ。だからこそ引退後も含めた人生を考えられるか

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阿部博一/小野ヒデコ

阿部博一/小野ヒデコHirokazu Abe/Hideko Ono

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Kiichi Matsumoto

 全国高校サッカー選手権が開幕した。華やかなスポットライトを浴びるヒーローが生まれる一方で、卒業後のサッカー人生と“ネクストキャリア”をどう考えていくべきか。元プロ選手と、アスリートのキャリアを追うライターの2人が契約・収入事情など幅広くリサーチした著書『サッカーで、生きていけるか。プロへの道筋と現実、ネクストキャリアの考え方』(英治出版)から一部転載でご紹介します。
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 「高卒30歳・初企業勤め」を見据えたネクストキャリア戦略

 18歳の高卒選手が27歳前後でパフォーマンスのピークを迎え、そしてJ2、J3、または日本よりサッカーレベルの低い海外などで、カテゴリーを下げながら30歳前後までプレーを続けるケースを想像してください。実際に、これはプロサッカー選手の典型的なキャリアでもあります。

 さて、仮に30歳で現役を引退し、企業への就職を考えたとします。「高卒30歳・初企業勤め」人材の誕生です。本人の人間としての魅力や経験値はどうであれ、日本の労働市場においては想定されづらい人材であり、正規ルートでの就職はかなり難しいです。

 では「大卒資格の学位を持っていればよいのか?」という話ですが、日本の雇用システムだけを考えるなら、高卒よりも大卒が有利なのは間違いないです。ただ、特に学びたいこともないのに、プロサッカー選手をクビになったときの保険を掛けるためだけに大学に進学するのは、4年という時間を無駄にするだけです。 

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 近年では、プロとしての生活を続けながら大学に通って学位を取るという選択肢も出てきています。これは「デュアルキャリア」(※競技を続けながら大学に通ったり、競技以外の仕事をしたり、現役中から将来を見据えた準備をすること)と呼ばれ、ヨーロッパでは広く普及している考え方です。

浦和に在籍しながら早大大学院に通った選手も

 例えば、2013年に専修大学を卒業後にJクラブを経由せずドイツへ渡り、1.FCケルンと契約した経歴を持つ長澤和輝選手は、ドイツから帰国後の浦和レッズ在籍中の2019年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学し、その後学位を取っています。当時は、大学院に通う異色のJリーガーとして話題になりました。

 長澤選手は大卒(専修大学卒)ですが、実は日本では、大卒の学位を持っていなくても大学院に入学することができます。「大学院の個別の入学資格審査で認められた22歳以上の人」なら、大学院入試を受験することができるのです。

 この制度を、日韓W杯(2002)世代の元日本代表選手が数名活用しています。

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