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大谷翔平59盗塁の成功率「.937」メジャー100年超で“実は史上2位”…成績を詳細分析すると面白い傾向だらけ。ただ古巣エンゼルス相手には 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/10/05 17:21

大谷翔平59盗塁の成功率「.937」メジャー100年超で“実は史上2位”…成績を詳細分析すると面白い傾向だらけ。ただ古巣エンゼルス相手には<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

レギュラーシーズン後半戦に盗塁を成功し続けた大谷翔平。成績から見ても「次を狙う」走者としての進化がクッキリと分かる

・打順別
 1番:44盗塁3死 90試合
 2番:15盗塁1死 69試合

 大谷はムーキー・ベッツが死球で戦線離脱してから打順が2番から1番になった。1番打者は1試合で最低1回、無走者で塁に出るチャンスがあるために自ずと走りやすい。リードオフマンになったことで盗塁を意識したという面はあったかもしれない。

・アウトカウント別
 無死 11盗塁1死
 1死 21盗塁1死
 2死 27盗塁2死

・出塁別
 単打 25盗塁2死
 二塁打 3盗塁
 凡退(走者入れ替わり) 2盗塁
 守備妨害出塁 1盗塁
 振り逃げ 1盗塁
 四球 20盗塁2死
 死球 2盗塁
 二盗からの三盗 5盗塁

 大谷は2死から走ることが多い。アウトになれば一瞬でチェンジになる状況だが、大谷は29回走って27回成功している。また大谷は単打を98本打って盗塁企図は27回、四球は81回選んで22回盗塁を試みている。

 大谷が最も走りたくなるシチュエーションは「2死から四球で出塁した」ケースだ。レギュラーシーズンで11回あって、すべて成功させている。

・盗塁した塁別
 二塁 49盗塁4死
 三塁 10盗塁0死

 一般的に三盗の方が二盗よりも盗塁成功率は高いとされているが、今季の大谷は三盗を一度も失敗していない。

 二盗から三盗と連続盗塁したケースは、6月1日のロッキーズ戦、7月7日のブルワーズ戦、8月3日のアスレチックス戦、9月2日のダイヤモンドバックス戦と4回ある。

 なお大谷が絡んだダブルスチールは4回あった。

 7月7日のブルワーズ戦の3回に二盗した大谷は、四球で歩いたフレディ・フリーマンとともにダブルスチールを敢行し成功している。この日の投手は、今季途中からロッテにいるサイ・ヤング賞投手ダラス・カイケル。日本での試合を見る限り、クイックは非常に巧みだと思ったが、大谷もフリーマンもカイケルの警戒を易々と突破したのだ。

 また9月19日のマーリンズ戦の1回、二塁打で出塁した大谷は、やはり四球で歩いたフリーマンとダブルスチールに成功。ごつい体のフリーマンだが、昨年は23盗塁1死、今季も9盗塁2死と一流のランナーなのだ。

 そして9月27日のロッキーズ戦の2回、大谷は安打で出塁すると、その安打で三塁に進んだクリス・テーラーの本盗とタイミングを合わせて二盗している。さらに、今季最終戦の9月29日のロッキーズ戦の8回にも安打で出塁した大谷は、捕手のオースティン・バーンズと示し合わせてダブルスチールしている。つまり大谷は、塁に出ても全く油断のできない選手となったのだ。

計20チームから盗塁成功。古巣エ軍相手には…

 最後に、対戦チーム別の盗塁数を見ていこう。

〈チーム別〉
 ロッキーズ:9盗1死
 ダイヤモンドバックス:7盗0死
 ブルワーズ:6盗0死
 マーリンズ:5盗0死
 パドレス:4盗0死
 アストロズ:3盗0死
 アスレチックス:3盗0死
 フィリーズ:3盗0死
 ジャイアンツ:2盗1死
 ブレーブス:2盗0死
 オリオールズ:2盗0死
 マリナーズ:2盗0死
 カージナルス:2盗0死
 ナショナルズ:2盗0死
 カブス:2盗0死
 タイガース:1盗1死
 レッズ:1盗0死
 メッツ:1盗0死
 レイズ:1盗0死
 レンジャーズ:1盗0死
 エンゼルス:0盗1死

 昨年からインターリーグが拡張され、すべての球団は両リーグの全チームと対戦することになった。それだけに大谷が奪った塁も20チームに及ぶ。1回だけとはいえ、大谷が盗塁を企図して唯一成功を許さなかったのは古巣エンゼルスだった。

 大谷に最も多くの盗塁を許した捕手はブルワーズのウィリアム・コントレラスとロッキーズ、ハンター・グッドマンの「4」、投手はロッキーズのカル・クアントリルの「3」だ。

 昨年オフ、大谷は「盗塁」に焦点を当て、走塁技術を磨くとともに加速をつけるトレーニングを集中して実施したという。またシーズン中も対戦する投手の球種ごとの癖の研究に余念がなかった。そうした不断の努力が、快走の背景にあるのだろう。

 よく言われるように投手に復帰する来季以降は、野手としての出場試合数も減少するだろうし、投手として出場している試合では盗塁を自重するケースも起こりうる。

 そういう意味では大谷は「最初で最後」のチャンスに挑んで、恐るべきレベルと高みに達したとも言える。

 つまり、「走者・大谷翔平」は、今年完成したのではないか。それに加えて54本塁打を放った「打者・大谷翔平」も、パワーだけではない進化を見せた。〈つづく〉

#3に続く
「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因

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