将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太七冠が大逆転「永瀬拓矢九段の本音は衝撃的に重い…」観る将マンガ家、将棋界に感服「医師との二刀流、西山朋佳女流三冠もスゴい!」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by日本将棋連盟/Junsei Chida
posted2024/10/02 06:00
9月の将棋ハイライト。イラストは関連記事などからご覧になれます!
……というところで将棋ファンの人ほとんどが感じたであろう「獺ヶ口笑保人さん……なんて読むの」問題です(笑)。ふりがなを振ると「おそがぐち・えほと」という名字・名前ともに珍しいとともに、なんと四段昇段時点で群馬大学の医学部に在学中とのこと。“医師免許取得と将棋棋士”という二刀流を目指しているそうで、そのキャリアに注目が集まります。
獺ヶ口新四段のインパクトが強いですが、吉池新四段は海外サッカー観戦が趣味で、押しのクラブはリバプールとのこと。僕の妻氏は遠藤航選手の大ファンなので“ぜひいつか叶うのなら、サッカーと将棋談義をしてみたいものです……”と夢見ています(笑)。
3)西山女流三冠の奮闘+新将棋会館ができた!
女流棋士に目を移すと、西山朋佳女流三冠が2つの大きな戦いに挑んでいます。まず何よりも注目は「初の女性棋士」誕生となるかの棋士編入試験です。5人の四段棋士と月1回のペースで対局し、勝ち越せば合格となる大きな勝負の第1局が9月10日に行われ、高橋佑二郎四段に勝利しました。
NumberWebの記事によると形勢がもつれた展開だったそうですが、最初に1勝を手にしたことは非常に自信になったのでは……(NHK杯では藤井七冠とプロ入り後初の公式戦を臨んでもいました)。第2局は10月2日、山川泰熙四段と対戦します。果たして連勝で一気に勢いに乗るのでしょうか。
西山女流三冠に感銘を受けるのは、この大事な対局と並行して女流棋士にとって大きなタイトル戦である「白玲戦」を戦っている点です。防衛をかけて戦う挑戦者は、福間香奈女流五冠。女流タイトル戦のゴールデンカードと言って差し支えない番勝負は、第1局は西山女流三冠、第2、3局は福間女流五冠が勝利しました。西山女流三冠の体調不良によって第4局は10月12日に延期となりましたが、棋士編入試験を戦う勢いを持って白玲防衛なるかどうか。
新将棋会館…早く行ってみたい!
そして最後は9月ハイライトというより、10月1日に出来立てホヤホヤの新たなトピックスですが……東京の新将棋会館が10月1日にオープンしました!
数年前、中村太地八段のご厚意によってかつての将棋会館の見学に足を運んだ際「ああ、ここで数々の名局が生まれたのか」とエモい気分になる一方で、棋士や対局数の増加(女流棋士・奨励会なども含めてです)によって、手狭になっているという側面もあったそうです。そこで将棋会館の建設の気運が高まり、日本将棋連盟の創立100年を迎えた9月8日に完成しました。
「この夏、国立競技場でサッカー取材があったときに目の前を通ったんですが、非常にきれいな入り口で、早く内部を見てみたいです。アクセス的にも千駄ケ谷駅の目の前なので、スポーツ観戦に来た人々も〈あ、将棋ってここでやるんだ〉とより認知しやすくなったかもしれませんね」
とは編集担当さんの言葉ですが、僕ら夫婦も同じくです。ショップ兼カフェになっているという「棋の音」、対局室を体感できるという「こもれびの間」なども早く見てみたい……妻氏といつ行くか早速相談中です(笑)。
果たしてこの新将棋会館で、羽生善治会長や藤井七冠、伊藤匠叡王や渡辺明九段、永瀬九段らがどんな知のバトルを繰り広げるのか――秋以降も熱を帯びる戦いに注目していきましょう!