〈私は人間らしさと、そうでないところの両方のいいとこどりをしようと思っていました。それが藤井さんに勝つ方法なのかな、と。でもそれでは結果が出なかった〉

〈多分、勉強時間はこれ以上、増やせないと思います。大事なのは、漆黒の世界で生きていく覚悟をすることでしょうね〉

　漫画でも出てこないようなセリフを、永瀬九段が本音で語るとは……。　

第3局の前日検分　©日本将棋連盟

　ファンである妻氏とともに読後、言葉を失ってしまいました。そこまでの覚悟を持たなければ絶対王者・藤井七冠と盤を挟めないのか――将棋が持つ“勝敗の重み”を考えさせられるインタビューであったとともに、永瀬九段の将棋に、一筋の光がもたらされてほしい。そう心から思っています。

2）天彦九段の“半分茶髪”がスゴい

　将棋界全体の流れも見ていきましょう。ABEMAトーナメント2024は9月14日に決勝が放映され、チーム稲葉（井上一門＝稲葉陽八段、藤本渚五段、上野裕寿四段）がチーム永瀬（川崎家＝永瀬九段、増田康宏八段、森内俊之九段）に勝利して優勝、賞金1000万円を獲得しました！

　2020年にチーム戦となって以降、これが5回目の開催でしたが、チームリーダーとして複数回優勝を飾ったのは永瀬九段に続き、稲葉八段が2人目です！　超早指しのフィッシャールールへの順応ぶりとともに、若きホープ藤本五段と上野四段の今後の活躍にも期待したくなるフィナーレとなりました。

　そして年末の恒例となったSUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦2024の出場者も決定しています。

東：佐藤天彦九段、永瀬九段、伊藤匠叡王（以上ファン投票）、三浦弘行九段、増田康宏八段、高橋佑二郎四段
西：藤井七冠、豊島将之九段、山崎隆之八段（以上ファン投票）、藤本五段、上野裕寿四段

　残るは西のあと1人。藤本五段ら若手から三浦九段、山崎八段と円熟の棋士たちと年齢も幅広く、すでに対局への楽しみがつきません。

©Junsei Chida

　さてその中で東のファン投票1位となった天彦九段は佐々木勇気八段とともに順位戦A級3連勝を飾るなど好調ですが……「後ろ半分だけ茶髪」というスゴいアグレッシブなヘアスタイルに変貌していました。でもさすが「貴族」の愛称でファンに愛されるだけあって、しっくりくるんですよね。さすが天彦九段です。

医師と棋士の二刀流…獺ヶ口新四段がスゴい

　一方で奨励会の三段リーグも半年の激闘を終え、吉池隆真新四段（19）と獺ヶ口笑保人新四段（24）がプロ入りを決めました、おめでとうございます！

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