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核心にシュートを!BACK NUMBER
「どんどんどんどん強く」三笘薫と日本代表の収穫は2戦12発だけでない…「僕自身楽しみです」堂安律との“両WBアタック”に「再現性あるプレー」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAtsushi Kondo
posted2024/09/15 17:05
三笘薫ら各タレントの特性を日本代表でどう生かすか。戦術的にも、そのアプローチの輪郭がはっきりと見えてきている
近年のブライトンは監督が代わってもそこに挑戦しているし、ミケル・アルテタ率いるアーセナルなどはその筆頭である。
端的に言えばサッカーのバスケ化である。プレーの質を上げ、勝利の可能性を高めようとすると、ボールを手で扱うためにミスが少ないバスケのような〈再現性のあるプレー〉を目指すことになる。
ただ、1月から2月にかけて行なわれたアジアカップの時点では物足りなさの方が目立っており、冨安健洋も自戒を込めてこう語っていた。
「再現性というよりは、創造性かな。そういうシーンが多いですね、代表では。前線にタレントがそろっているので」
これまでの日本代表では、〈再現性のあるプレー〉を増やすためには練習の質も量も十分ではなかったのは事実だろう。
だからこそ、三笘に聞きたいことがあった
そうした前提があったからこそ、三笘が再現性に触れたことは大きな意味がある。だからバーレーン戦後、こう質問をぶつけずにはいられなかった。
「中国戦に続いて片方のウイングバックからのクロスが、逆サイドのポケット(*ペナルティーエリア内の両サイド奥側のエリア)に送られ、逆サイドのウイングバックが決定的なシュートを放ちました。ということは、〈再現性のあるプレー〉ができてきているのでしょうか?」
それを受けて、三笘が口を開いた。
「ボールを持てる時間が増えている分、自分たちが前に押し込める。なので逆サイドに入るところや、ポケットでは余裕があります。自分たちに考える時間があって、行けるというところです。それも再現性とは言えるんですけど……4バックシステムの時とは違ってきます。相手がもっとプレスをかけてくれば(攻撃のアドバンテージは)低いものになりますし……」
三笘が考えているのはこういうことではないか。
世界最高峰のプレミアリーグの基準から考えれば、胸を張れるものではない。何より、この程度で満足などしたくない。
「僕自身楽しみですし、それを出さないといけない」
ただ、それと同時に――悲観して、嘆くのではない。
彼は最後にこう付け加えた。