甲子園の風BACK NUMBER
大社の快進撃を見た“ある指導者”の後悔「隠岐の子たちに…責任感じる」野球部“5年後は3割が危険ライン”の報道も…連合チームで甲子園は可能か?
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/09/11 11:03
今夏の甲子園で旋風を巻き起こした大社高校
“攻める連合チーム”が生まれていた…
2023年に志津川から校名変更した南三陸の佐藤克行監督は「攻める連合チーム」の体現者だ。昨春、「南三陸・登米」で地区予選を勝ち上がり、宮城で初めて連合チームでの県大会出場を果たした。南三陸町の支援で生徒の全国募集がスタートし、学生寮を開設。初心者の県外生1人が野球部に入った。
かつて甚大な津波被害を受けた地域だが、野球人口はやや下げ止まってきた。佐藤監督は「もともと野球熱が高く、運動好きな子どもが多い土地。スポ少(小学生)時代から同じチームで野球をやってきた子がそのまま上がってくるので、チームワークがいいんです。地元の高校で野球がしたいな、と思わせる普及活動が一番大事なのです」と話し、町と一丸となって小学生との交流を続けている。今秋は部員7人が気仙沼向洋と連合チームを組み、私学の実力校・東陵に5―7と善戦した。連合チームはマッチング次第で、時に大きな力を生み出す。
福岡は連合チームの数が極端に少ない県だ。136チームで今夏はわずか「1」。福岡南部初の連合チームで2019年秋の大会に出場した久留米高専・渡邊勝宏部長に聞くと「単独出場にこだわっている学校が多いんです。部員が7、8人の学校は連合チームを作らず、他部から助っ人を入れて出場している。遠い学校と連合を組んでも、交通が不便で大変だからなんです」
そんな久留米高専が移動距離7キロほどの久留米筑水とのマッチングが成立。久留米筑水の永田兼士監督は、西武やソフトバンクで活躍した帆足和幸投手と三井高時代にバッテリーを組んでいた元捕手。1年生部員5人が、久留米高専の10人と結束した。渡邊部長は「部員20人以下なら連合チームが組めるというルールを採用しました。『積極的連合チーム』で戦おうと思いまして!」と威勢がいい。