Number Web MoreBACK NUMBER
甲子園では「こういうピッチャーがいちばん怖い」プロスカウトも脱帽…93年ぶりベスト8で大ブレイク“島根の公立”大社高・馬庭優太のリアル評―2024年上半期読まれた記事
posted2024/09/19 06:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
2024年の期間内(対象:2024年5月~2024年8月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。甲子園部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024年8月24日/肩書などはすべて当時)。
大会5日目・第3試合。
大社高(島根)VS報徳学園高(兵庫)。
32年ぶりに夏の甲子園に出場した島根の公立校が、2年連続センバツ準優勝の地元・報徳学園に挑む。
報徳OBも「楽なとこ引いたんやないか」のハズが…?
第2試合から1万人増えて、観客3万8000人。報徳学園応援席からの「圧」はすさまじく、球場全体が報徳学園に「熱」を送っているように感じられた。
「そう、島根の公立校でしょ……聞いたことない学校やし、49校でいちばん楽なとこ、引いたんやないかな」
言ったのは、私じゃない。余裕の笑顔で、うかつなことを口走ったのは、ほかでもない……だいぶ前に卒業した報徳学園OBだった。
その、聞いたことない島根の公立校・大社高が、甲子園の強豪、常連3校をいずれも僅少差のしびれるような試合展開の末に破って、ベスト8に勝ち上がったのだから、たぶん日本中の野球ファンが驚いたのではないか。
今、振り返っても「あっぱれ!」な大奮闘ぶりだったと、胸が熱くなる。
試合開始当初、報徳学園・先発の今朝丸裕喜投手(3年・188cm80Kg・右投右打)の球筋が見たくて、ネット裏スタンド、捕手の真後ろの位置からグラウンドを見下ろしていた。
7球の投球練習、ボールが指にかかりきっていない。持ち味の快速球も変化球も、センバツの時のように、エッジがとがっていない。
1番打者にスライダーをライト前に、2番打者にはフォークの投げ損じを三塁強襲。ヒット2本続けられて、3番打者には四球を与え、バックのエラーも重なって、初回から2点を奪われた今朝丸投手。