甲子園の風BACK NUMBER

大社の快進撃を見た“ある指導者”の後悔「隠岐の子たちに…責任感じる」野球部“5年後は3割が危険ライン”の報道も…連合チームで甲子園は可能か? 

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樫本ゆき

樫本ゆきYuki Kashimoto

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/09/11 11:03

大社の快進撃を見た“ある指導者”の後悔「隠岐の子たちに…責任感じる」野球部“5年後は3割が危険ライン”の報道も…連合チームで甲子園は可能か?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今夏の甲子園で旋風を巻き起こした大社高校

「2024年の異動で安来市の情報科学に赴任して、いまは第三顧問としてチームに携わっています。秋の部員が6人なので、近所の私立松江西と連合チームを組んで出場します。松江西さんが8人、うちが6人。助っ人を使わず、両校の選手の意思を尊重して連合チームを組みました。実力的にも楽しみな選手が合わさったので、面白いチームになりそうですよ」

増える連合チーム…その実態

 第106回全国高校野球選手権大会に参加したチームは3441チーム(3715校)。昨年より45チーム(29校)減り、20大会連続の減少となった(中止の第102回大会を除く)。一方、部員不足の学校による連合チームの数は昨年より5多い133チーム(403校)となり過去最多を更新した。中学生の野球人口減少を見ると、今後、高校野球の部員数が大幅に増えることは期待しにくい。

 紹介した島根・情報科学野球部のように、現在、全国で連合チームが増えている。その背景には、少子化の他に、結成条件の大幅な緩和がある。高野連の大会に参加するには1校1チームが原則だったが1997年、統廃合校に限り連合チームでの出場が可能になった。その後、2011年東日本大震災で部員不足のチームが増えたことなどを受け、2012年夏の地方大会からは部員が8人以下の学校同士なら結成可能に。また「単独廃校ルール」といって5人以上の部員がいれば合計10人になるまで他校から部員を借りていいという特別措置も生まれ、今夏は花巻東が金ケ崎に、弘前学院聖愛が柏木農に部員を派遣し「単独チーム」として地方大会を戦った例もある。日本高野連は条件の見直しと緩和を重ね、小規模野球部の出場機会を奪わぬよう、救済に尽力してきた。

 余談だが、高体連が2023年1月に9競技で合同チームの高校総体出場を認めた。その秋、ラグビーの「若狭東・敦賀工」が福井大会で優勝し、全国高校ラグビー大会、通称「花園」に出場。103回の歴史で初めて合同チームが全国の舞台に立った(*福井県予選は参加3校)。この健闘を考えると「連合チームで甲子園」の可能性もゼロではないのではないかと考えてしまう。そして、そんなポテンシャルを感じさせる連合チームが今、全国で登場している。

【次ページ】 “攻める連合チーム”が生まれていた…

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