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将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太22歳や羽生善治53歳も対局中に席を外すけど…将棋と“トイレ休憩”ウラ話「特別対局室の個室が半開き」「秒読み中に“どうぞ”」
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by日本将棋連盟
posted2024/09/02 11:01
藤井聡太七冠や渡辺明九段の対局を筆頭に、長時間の対局を見ていると必ず目にする“トイレ休憩”のウラ話とは?
その後、原田が寄せを誤って形勢は逆転した。原田は「うまくやられました。まことに憎い男……」と苦笑しながら投了した。私は当時の日記に《勝負の道に突き進むプロとは厳しいものだ》と書いた。なお、原田は次の最終戦に勝ち、B級1組への昇級を45歳で果たした。
田丸九段も、同じような経験をしたことが
田丸も2006年11月のC級1組順位戦で同じような経験をした。
相手のH七段は秒読みに追われていた終盤の局面で、尿意を我慢しきれずにトイレに行った。私はHが戻ってから20分後に指した。ただこれは相手に塩を送ったのではなく、難しい形勢なので短時間で指せなかったのだ。結果は寄せを誤った私が敗れた。
ちなみに囲碁の公式戦では、秒読み中でも1、2分のトイレ休憩が認められるという。当事者にとってはありがたいが、個人的には勝負のルールとしては生ぬるいと思う。
たかがトイレ、されどトイレ。対局においてのトイレに行く問題は、勝負に大きく影響してくる。それはタイトル獲得経験のある木村一基九段や加藤一二三・九段らといった名棋士も味わったことがある。
<つづく>