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“藤井聡太14歳の30連勝を阻んだ男”佐々木勇気とは何者か「NHK杯で藤井撃破→竜王戦に挑戦」「スポーツ青年…最近の趣味は盆栽や書道」
posted2024/08/18 17:00
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
JIJI PRESS
第37期竜王戦挑戦者決定戦第2局は8月13日に行われ、佐々木勇気八段(30)が元竜王の広瀬章人九段(37)に勝って2連勝した。藤井聡太竜王(22=名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖を合わせて七冠)への挑戦権を得た佐々木は、タイトル戦に初めて登場することになった。佐々木の棋歴とエピソード、藤井の四段時代に30連勝を阻んだ佐々木の意地、NHK杯戦決勝で2回連続で対戦した両者、竜王戦七番勝負の展望などについて、田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時】
史上6番目のプロ入り年少記録だった
佐々木八段の棋歴とエピソードをまず紹介しよう。
1994年8月5日にスイス・ジュネーブで生まれた。父親の仕事の関係で2歳までフランスにいて、その後は埼玉県三郷市で育った。5歳で将棋を覚えると、たちまち上達した。2003年の小学生倉敷王将戦・低学年の部で優勝。04年には小学生名人戦で優勝した。小学4年での優勝は、94年の渡辺明(九段)以来だった。
04年9月に石田和雄九段門下で、棋士養成機関である奨励会に6級で入会。以後は順調に昇進し、08年4月に三段に昇段。4期目の三段リーグで14勝4敗・1位の成績を挙げ、10年10月に四段に昇段して棋士となった。16歳1カ月でのプロ入りは6番目の年少記録だ。
佐々木は四段昇段について、このように語っていた。
「4期目の今期は6勝4敗という絶望的な状況となりましたが、諦めずに最後まで頑張ろうと決めたことが昇段につながりました(以降は8連勝)。今後の道のりは厳しいと思いますが、三段時代に積み重ねた経験と研究を発揮し、一歩一歩駆け上がっていきたい。目標はタイトル獲得です」
佐々木はプロ入り後、竜王戦や順位戦をはじめに各棋戦で活躍した。盤外では棋士たちとバスケットやフットサルを楽しむスポーツ青年だった。
藤井との対局を見据えて片隅からじっと見つめたことも
そんな佐々木が強い対抗心を燃やしたのが、16年10月に最年少記録の14歳2カ月で四段に昇段した藤井聡太だ。