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甲子園で初実施「朝・夕2部制」現場のリアルな声はどうだった? 出場選手&監督が語るホントのトコロ「夜に始まるなんて、試合も練習も…」
posted2024/08/12 06:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
「暑さ対策」の一環として、夏の甲子園が今年も大改革に打って出た。
5回終了時に10分間、水分補給や体を冷やす時間を設ける「クーリングタイム」を実施した昨年に続き、今年は気温が最も高くなる日中の時間帯を避け、午前中と夕方以降に試合を行う「2部制」を8月7日の開幕日から3日間、試験的に導入した。
開会式のある初日は第1試合が10時開始。第2試合が16時開始、第3試合が18時30分開始予定となった。2日目と3日目は、第2試合までを午前中に行い、第3試合は17時開始に設定された。
結論として、「夕方の部」で試合をした選手、監督の意見は好意的なものだった。
高校生は夕方の時間帯に試合をする経験こそ少ないかもしれない。しかし、練習となると平日は概ね16時あたりから始まるため時間帯を気にする選手は少なく、むしろ「涼しくてやりやすかった」と口を揃える。監督たちも「いい取り組みだと思います」や「ありがたいです」と賛同していた。
そうはいっても、開会式のため代表校が集結する初日に戦うチームにとっては、「長い1日」となった。
「試合時間が決まっているので…」
第2試合に登場したセンバツ優勝校の健大高崎はこの日、4時に起床した。キャプテンの箱山遥人が淡々と話す。
「試合時間が決まっているので、いつも通り準備して臨むだけでした」
チームは開会式後に一旦、宿舎へ戻り30分ほどリラックスタイムを設けるなどして再び甲子園に戻り、そして、起床から12時間後に行われた英明との試合で1-0と引き締まったゲームを披露してくれた。
この試合で英明の百々愛輝がプレー中に左足を攣らせたことで、治療のため10分ほど試合が中断されたように、夕方以降の試合であっても暑さという猛威が消えたわけではない。
第3試合を戦った岐阜城北の秋田和哉監督は、試合中に足が攣った選手がいたことを明かしたうえで「2部制」を前向きに捉える。
「普段も夜まで練習していますし、試合前から『今日は(夜の)10時まで試合をするぞ!』と言って選手を送り出しました。結果的に足が攣る選手は出てしまいましたけど、チームはいい状態でゲームに入れました」